第92話 神は図書館に行く
次のタイトルどうしようかな?
翌日、俺はイーゼルに呼び出されて王城に来ていた。
「やぁ、ゼロ。待ってたよ」
「イーゼル、お前勝手に俺を剣魔祭にエントリーさせたな?」
「チョットナニイッテルカワカンナイナー」
「ったく、まぁ良い。それで俺を呼び出した理由は?」
「先日のスタンピードの件だ。アレの原因、元いヴェレアスに隷属魔法を掛けた犯人が分かった」
「''魔族''だろう?」
「何だ、知ってたのか」
ヴェレアスに掛けられた隷属魔法は明らかに使用された魔力量が多い。
この時代の人間にはまず以て不可能だ。
となれば魔族の可能性も出てくる。
しかし・・・
「それは間違いないんだな?」
「ああ、君が組織した公安警察からの情報だ。まず間違いないだろう」
魔族は2000年前の隕石落下から数を減らしていき、そして滅んだと聞いている。
その魔族が復活したのか?
「それで、ゼロに魔族の事を聞こうと思って。それと大分忘れていたけど、国立図書館の禁書室にも行こうと思っている」
「あ、その話俺も忘れてたわ。魔族の事はそっちに行ってから話そう。資料があった方が分かりやすい」
俺とイーゼルは国立図書館へと向かい、その中にある禁書室へと入った。
禁書室はその名の通り、禁書が保管されている部屋だ。
国王の許可なく立ち入る事が禁止され、今までにこの中に入った者は殆どいない。
「禁書室、思っていたより本が少ないな」
「僕もまさかこんなに少ないとは思わなかったよ」
禁書室はその広さとは裏腹に、本の数は著しく少ない。
数冊程度だ。
これは余り期待出来ないかも知れないな。
俺とイーゼルは禁書室にある本を全て確認した。
しかし、王国の機密情報が記された本ばかりであり、肝心の建国以前の情報は何処にも無かった。
「これは、消されたな。いつかは分からんが、建国以前の書物は残らず処分されたと考えて良い。全く、そこまでして何を隠したかったのやら」
「魔族に関する資料も残されていなかったよ。つまり、少なくとも建国以降に魔族は確認されなかったという事?」
「そうなるな。魔族は一度滅んだ筈だ。それがまた現れるという事は、恐らく魔王も復活している」
「!?魔王だって?」
魔王、嘗て神代において魔族を統率し、人間族と敵対していた存在。
魔族を生み出せるのは魔王のみ。
魔王は恐らく、何らかの方法によりこの現代に復活したのだろう。
「安心しろ、イーゼル。転生魔法は俺にしか使えないし、復活したと言っても力は無い筈だ。だが、魔族が動いているという事は、あと数年には魔王本来の力が戻るだろう。戦力を調えるには十分な時間だ」
「分かった。直ぐに魔族対策本部を設置して魔族の襲来に備えよう」
とは言っても、何処に来るのか、そしていつ来るのかが分からないんだよな。
魔王も滅んだと思っていたし、滅んでいなかったとしたら別に問題は無い。
だが、滅んでいたとしたら、誰かが復活させたという事だ。
どっちかは知らんが、これは無視出来ないな。
「まぁ魔王程度俺の敵じゃないけどな」
事実俺の敵ではない。
しかし、それは俺が神の姿であった時のみ。
力を抑えている今の状態ならどうだろうか、互角ぐらいか?
「ほんと、ゼロが味方で良かったよ」
「場合によっては敵になるかも」
「・・・怖い事言わないでよ。でもまぁ僕達は皆絶対神様の信奉者だから、基本ゼロの意思に従う事になるから、敵対する事は無いかな」
「確かに、俺が絶対神として声を発すればそうなるな。まぁやらんが。取り敢えず魔族が動くまでは軍拡だな」
しかし、その時は既に迫っており、俺は盛大なフラグ回収をするのだった。
図書館の話本当に忘れていた。