第91話 神は祭りに出させられる
この辺適当
メーメル公爵邸からの帰路の途中、数日後に行われる王国三大祭の1つ、剣魔祭の話が上がった。
剣魔祭は魔導祭と同様にトーナメント形式での勝負だ。
違う所は、剣術での勝負という所と、参加出来るのが冒険者のみという所だ。
毎年多くの冒険者がこれに参加し、王国中は盛況すると言う。
「それで、ゼロくんは剣魔祭出るよね?」
ルナが俺にそう尋ねるので、俺は即答する。
「いや、面倒だからいいわ」
俺がそう言うと、皆は''えー、出ないの?''という表情をする。
「まぁゼロが出たら優勝確定だしね」
「イーゼルの言う通りだ。俺が出てもつまらんだけだ」
「えー、でもゼロくんが優勝するとこ見たいなぁ(/ω・\)チラッ」
「私も、ゼロ様の格好いい姿を拝見したいですわ!」
ルナとカーシャは目をキラキラさせながら懇願する。
その様子を見たイーゼルは失笑し、俺に尋ねる。
「それで、どうするんだ?出る?」
「・・・そうだな、まぁ考えておこう」
「(それ絶対考えない奴じゃないか。仕方無いなぁ)」
後日、冒険者ギルドにて
「あっ、ゼロ様!剣魔祭エントリーしておきましたよ!」
いや何を勝手に・・・イーゼルか。
やりやがったな。
「あ、ああ。それで、俺剣魔祭のルールとか細かい事知らないんだが」
「では、説明致しますね」
エルカは剣魔祭について説明を始めた。
まず、試合形式は予選は乱闘、本戦はトーナメント形式となる。
予選では参加者を16のブロックに分け、そこで乱闘を行う。
そして、残った1人が本戦出場となる。
本戦では予選を勝ち抜いた16人によるトーナメント戦となる。
冒険者のみが参加する事が出来るが、武器は剣のみなので魔法使いや他の武器を使う人は参加する事が出来ない。
とはいえ魔法使いでも剣で戦えるなら参加出来る。
予め使用する剣は運営委員会に登録しなければならない。
登録していない剣は使用する事が出来ない。
また、一切の能力使用を禁じ、純粋な剣技のみで戦う。
よって剣に付与魔法を施す事や強化魔法も使用禁止である。
場所は国立闘技場、日程は2日間で行われる。
国立闘技場には魔法の使用を感知する結界が張られ、魔法の使用が感知されれば、即失格となる。
「以上で説明を終えます。何か質問等はございますか?」
「そうだな、特に無いかな」
「分かりました。では武器の登録に移ります。登録する剣を出してください」
俺は銃剣ラグナロクを出そうとしたが、一瞬止まる。
この剣自体が魔法によって成立しているので使用出来ないのではないか、とそう思った。
恐らく例の結界に感知されてしまうだろう。
さてどうしようか。
俺本来が持っている剣なんて神器だから使えないし。
いや、待てよ。
銃剣ラグナロクに神力でカバーを掛ければ感知されない筈だ。
この時代の文明レベルからしてそこまで見抜く力は無い。
よし、これで行こう。
俺はそのまま銃剣ラグナロクを出し、神力でカバーを掛ける。
「これでいいか?」
「はい、問題ありません。登録致しますね」
エルカはある機械に銃剣ラグナロクを通すと、特に何事もなく、戻ってきた。
「登録完了しました。こちらの剣に名前はございますか?」
「ああ、銃剣ラグナロクだ」
「分かりました。これで終了です。私も応援していますので、ゼロ様頑張って下さいね!」
エルカは笑顔でそう言うと、銃剣ラグナロクを俺に返した。
俺が態々神力でカバーを掛けてまで銃剣ラグナロクを使いたい理由がある。
それは、他の剣では俺の力に合わず、直ぐに壊れてしまうからだ。
流石にそれでは試合どころでは無いので、こういう措置を取る事にしたのだ。
さて、剣魔祭か。
何も起きなければいいがな。
俺は盛大にフラグを立てると、冒険者ギルドを後にした。
何も起きない訳もなく