第88話 神と風の遺跡(戦風)
戦風です。イメージと真逆
俺達は暫く手帳を眺めていたが、結局この文章の意味は分からなかった。
「ゼロ様、どういった意味であろうか?」
「さあ?まるで意味が分からん。何かの暗号だろうが、はっきり言って何とも。この木火土金水は多分陰陽五行が関係しているとは思うが、それ以外がな。まぁ考えても分からんし、それにこれだけでは無いような気もする。読めたのはここだけだからな。だから保留だ。一応これは持っておこう」
俺はその手帳を異空間収納に仕舞うと、ヴェレアスが俺に尋ねてきた。
「ゼロ様、これで終わりなのか?ダンジョンと言う割には浅い気がするが」
「ああ、ここは遺跡と言っても人工物じゃないからな。自然に出来たものは階層が浅いんだよ」
風の遺跡は全17階層だった。
確かに他のダンジョンに比べて浅いが、早く終わったのでそれはそれで良しとしよう。
「さてヴェレアス、帰るか」
「うむ」
こうして、俺達は風の遺跡を攻略し、ギルドからの依頼も無事に達成する事が出来た。
風の遺跡の入り口まで戻ると、案内してくれた受付嬢とユラムが出迎えていてくれた。
「おう、お前さん達!随分と早かったな!」
「それで、依頼の方は・・・」
受付嬢が不安そうに尋ねると、俺は異空間収納から大量の金、プラチナ、ダイアモンドを取り出した。
「えぇ!?こ、こんなにも!?」
「最近取れて無かったせいか、思ったよりあってな。これで足りるか?」
「十分過ぎます!本当に有難うございました!」
受付嬢はぺこぺこと何度もお辞儀をしていた。
するとユラムが俺に声を掛けた。
「それでお前さん達、攻略の方はどうだったんだ?」
「ああ、攻略してきた」
「そうか、流石にお前さん達でも、って攻略してきたぁぁぁ!?」
「全部で17階層しか無かったからな。直ぐに終わったな」
「な、成程。17階層しか無かったとは言え、お前さん達の実力は本物のようだな。特にゼロと言ったかな?お前さんの力は計り知れない。お前さん、本当にただの子供か?」
図星。
「勿論、ただの子供じゃないさ」
俺がそう言うと、ユラムはニカッと笑って、小屋の中へと戻っていった。
「それではゼロさん、ヴェレアスさん。ギルドへ戻って、達成報告をしましょう!」
受付嬢に連れられ、俺達は依頼達成報告の為、ギルドへと戻っていった。
一方その頃、小屋に戻ったユラムは黒いフードを被った男と対峙していた。
「どうでしたか?彼は」
「ただ凄いの一言だ。あの年でこの力、将来有望だぞ」
「ええ、分かります。私も魔導祭の際に彼の戦闘を目の当たりにしましたから」
「アンタがそこまで称賛するって事は、あの計画に組み込むのか?」
「勿論です。彼の力は私の悲願を達成し得る逸材です。彼を使わない手は無いでしょう。これで漸く10人が集まりました。後は彼が白金ランクになるのを待つだけです」
「10人だと!?そんなに集めたのか!?」
「ええ、大変でした。秘密裏に各国を周ってましたから。ですが漸くです!漸くこれに対抗出来る力が集まりました!」
「これって、まさか!"蜊∽コ梧弌蠎ァ縺ョ蝎ィ"か!?」
「はい、彼らの力でこれを叩き潰します!彼ら、十帝が!」
そう言うと、黒いフードを被った男は森の奥へと消えていった。
因みに、蜊∽コ梧弌蠎ァ縺ョ蝎ィは、ただ濁していると言う表現を出したくて使ったもので、実際はちゃんと言っています。まあ文字化けを直せば読めるんですけど