第80話 神は祝われる
ヴェレアス 「Zzz」
ルーヴァー暦2000年8月25日。
俺はイーゼルに念話で呼ばれて、王城の第2宴場へと向かっていた。
第2宴場は舞踏会で使用された第1宴場とは異なり、部屋が小さくコンパクトな造りとなっている。
因みに何でこんな所に呼ばれたかは知らん。
まぁ行きゃ分かるだろ。
第2宴場に到着した俺はその扉を開ける。
パァン!パァン!パァン!
「「「誕生日おめでとう!!」」」
「・・・え?」
俺が部屋に入ると、大量のクラッカーが鳴り響き、明るく装飾された部屋が目に飛び込む。
そう言えば今日、8月25日は俺の誕生日だったな。
すっかり忘れていたわ。
「その顔、誕生日忘れていたなゼロ」
イーゼルはそう指摘する。
確かに忘れていた。
というのも当然で、俺の身体、ゼロ=グランディオの誕生日は今日だが、絶対神リュート=グロースの誕生日は今日ではない。
というかいつ俺が神として生まれたかなんて知らん。
だから誕生日を祝われるなんて事は無かったな。
つか、イーゼルの他に五英傑の4人やルナ、ライト、ブラント、カーシャだけでなく、卿相の公爵家や王族と錚々たるメンツだな。
よくこんだけ集めたな。
流石国王。
「まぁ今日はゼロの誕生日会だ。盛大に祝わせて貰うよ」
「ああ、素直に有難うと言っておく」
「・・・そう言う所なんだよなぁ」
この後、他の人と談笑したり、公爵家の人に挨拶させられたりと、これ俺の誕生日会だったよなと思う程、誕生日会らしくない会場だった。
一通り会話が終わると、ルナとカーシャが俺の元にやって来た。
「ゼロくん、改めて誕生日おめでとう!」
「おめでとうございますわ、ゼロ様!」
「ルナ、カーシャ、有難う」
「ああ!これでゼロ様と結ばれるまであと1年!楽しみで夜しか眠れませんわ!」
「いや、それ普通だろ。そうか婚約出来る年まであと1年か。ルナとカーシャは本当に俺で良いんだな?」
「「勿論だよ(ですわ)!」」
「・・・なら良いんだ」
少なくとも、この2人には俺の正体を知る権利がある。
それがいつになるかはこの先次第だがな。
まぁ知った所で、2人の態度が変わるとは思えんがな。
「よし!ここのケーキ食べ尽くすぞぉ!」
「では私も頂きますわ。ゼロ様もどうぞ」
「有難う。あとルナは太るぞ」
「ギク(;゜゜)・・・ムグムグ、ゴックン。大丈夫だ、問題ない( ・`д・´)キリッ」
「・・・不安だ」
「・・・不安ですわ」
ルナが全種類のケーキを食している間、イーゼルは1人の女性を連れて、俺の元へやって来た。
「紹介するよ、僕の婚約者でヴェストファリ公爵家令嬢、セシリアだ」
「初めまして、セシリア=ヴェストファリと申します」
セシリアと名乗るその女性は清楚で美しく、国王の隣に居るには相応しい女性だった。
「あぁどうも、ゼロ=グランディオだ。婚約者って事は次期王妃か、宜しく」
「ええ、宜しくお願いしますね、グランディオ大閣男爵」
セシリアはニコッと笑った。
・・・ん?大閣男爵?
「あれ?俺そんな呼び名になってんの?」
「あーうん、大閣って言葉に聞き馴染みが無いからね。一応こうした方が良いかなと」
「そうか、首相の方が良かったか?いや、首相職とはまた別になるし・・・まぁそんなどうでも良い事は別にいいや。それでイーゼル、態々俺に紹介したって事は、何かあんのか?」
「うん、彼女も王族になる訳だし、何かあった時の為に顔を合わせておいた方が良いと思ってね。まぁ後は彼女がゼロに会いたいと言っていたからね」
「あ、そーなん?」
「ええ、魔導祭で初めて拝見させて頂いた時、あのような圧倒的な力に虜になってしまって、イーゼル様から貴方の事をお聞きしてから、ずっと会いたいと思っておりました」
魔導祭か、あの時見てたのか。
つか、イーゼルは俺の事どこまで話したんだ。
チラッとイーゼルの顔を覗くと、問題ないという顔をしていたので、取り敢えずは安心した。
その後、セシリアに握手やサインを求められたり、ルナがケーキを完食していたのを見て驚いたりと、騒がしい雰囲気のまま、誕生日会は幕を閉じた。
第2章完!
次回は設定資料集を上げます。(一番時間かかるやつ)
ここまで読んで頂き有難うございました!