第78話 神と使徒は内政をする
因みに即位式の出席は貴族だけなのでヴェレアスはお留守番です。多分寝てます。
即位式が終わり、俺とイーゼルは政務室に戻ってきた。
「まさか即位式の様子が魔法放送で放送されるとは思わなかったな。つか、魔法放送なんてこの時代にあったのか」
魔法放送によってイーゼルの使徒宣言が国中に知られる事になった。
俺的には貴族への認知だけでも良かったのだが、結果オーライだな。
「魔法放送は数年前に神代の技術から復活出来た物の一つなんだ。とは言っても普及率は高くないけどね。その辺は全部郵政逓信卿の管轄だから」
郵政逓信卿は郵便や通信を管轄する卿相だからな。
魔法放送もここの管轄になったという訳か。
「そう言えば国家公安卿のポストが空いていると言っていたな」
「あ、もしかしてやってくれる?」
「それは断っただろう。だが、それを上回る役職になら就いても良い。''大閣''だ」
「大閣?」
「国王の権限で臨時に設置でき、全ての卿相を統率、及び干渉する事が出来る役職だ。本来は国王が政治に参加出来ないとかそう言う時に設置される物だが、常設してそこに俺を充てれば良いんじゃないか?まぁ簡単に言うと首相だな。この場合爵位は関係なく国王の好きな人を任命出来る」
「了解、じゃあ任命しよう。ゼロ=グランディオ男爵を大閣に任ずる。これで良いかな?」
「・・・随分と適当だが、まぁそもそも国王権限で設置される物だから別に良いか」
大閣は神代において俺が設置した物で、当時は最高神に任じていたな。
俺の転生後、最高神に権力が委譲するようになっていたんだが、何でこうなったんだか。
つかそもそもこの国にいないだろ。
「それじゃあ僕はそろそろ政務に取り掛かろうかな。ゼロ、何かアドバイス無い?」
「そうだな、取り敢えず俺が神代で実際にやっていた中で実現可能な奴をやろうかな。今回はインフラと軍事と警察かな」
俺がイーゼルに提示した政策は3つ。
まずはインフラについて、現在隣国を結ぶ3本の街道は砂利道で出来ているが、徒歩なら兎も角馬車だと滅茶苦茶揺れる上に荷台が崩れる程の悪路だ。
まずは道幅を広げ、煉瓦なり石なりで舗装する。
インフラ整備において、主要道路の補修は国家の発展の礎となるからな。
物資や食糧も全ては道路が無いと供給されない。
鎖国体制の終焉を迎えたこの国にとって交通はより重要となるだろう。
次に軍事について、現在王国軍の構成は、第一軍隊が魔法特化、第ニ軍隊が剣術特化、第三軍隊が諜報特化、第四軍隊が警備特化となっている。
このうち第三と第四を分離させ警察とする。
残る第一と第ニを新生王国軍として再編する。
ただ、魔法部隊も剣術部隊も強さ的には弱い。
魔法部隊は本人の力量が問題なのでどうしようも無いが、剣術部隊は武器の質だけでも十分なアドバンテージを取れる。
武器の供給は軍務卿が担当だ。
俺が付与で強化した剣を軍務卿にレンドリースしよう。
付与の内容は『付与剣聖』。
剣聖の能力その物を付与する。
そうすれば、弱い軍隊でも相当の戦闘能力を保有する事が出来る。
そして最後に警察について、王国軍の第三と第四を再編して国家公安卿直属の警察組織とする。
第三はそのまま国内及び国外の諜報を担当、第四の憲兵と呼ばれていた部隊は一般警察として犯罪の対処や警備を担当、そして第四の近衛兵とイーゼルが持っていた秘密部隊を統合、公安警察として内憂外患や王族の警護を担当する。
勿論警察官に与えられる装備は、俺がレンドリースする物だ。
警察を組織する事で国家の安寧と秩序を維持させる事が出来る。
という内容を一々話すのが面倒なので、思念魔法『意思通信』でイーゼルの脳内に直接送り込んだ。
「という感じだが、内容理解した?」
「そうだね、早速この政策を実行しよう」
その後、イーゼルの指示によって王国軍の改革、警察の組織が行われると共に、街道のインフラ整備が始まる事になった。
因みに俺はイーゼルに『念話』の魔法を覚えさせて、いつでも連絡出来るようにしておいた。
神代が近現代で現代が中世。ホーキングの時間の矢逆転かな?