第7話 神は最初の授業を受ける(中編)
ゲールノーア学園寮。
ゲールノーア学園に併設されている寮である。
が、そもそも在籍している学生の99%が貴族、商家でこのグランツ王国の王都グランセルに住んでいる為、ここを利用している生徒はここ数年居なかった(数年前は辺境伯の貴族がいたらしい)。
故に手入れが雑でそれ以前に管理人がいないので当然食事、掃除等は自分でしなければならない。
俺が寮で暮らすと知った貴族の馬鹿は、平民なのに食事を出してもらえなくて可哀相(笑)、とか言っていたが。
そもそも神族は生きる為に食事を取らない、いや取る必要がない。
食事は精々嗜む程度だ。
別に嫌いな訳ではない。
故に食事を出してもらえないからといって飢える事は無いし、必要な物は''創造''してしまえばいい。
という訳でこのボロ寮に一人で住むことになった。
翌日、本日から授業が始まる。
因みに内容は、座学は応用魔法学、数理魔法学、王国歴史学の3つ。
実技は基本魔法教練、剣技魔法教練の2つ。
授業開始時間は10時で午前2つ、午後1つのカリキュラムだ。
今日の内容は応用魔法学、王国歴史学、基本魔法教練だ。
俺は必要な物を持って学校に向かった。
学校併設の寮なので所要時間は数分だが。
教室に入るとルナが声を掛けてきた。
「おはよう!ゼロくん♪」
「あぁ、おはよう。それにしても早いな、授業開始まであと一時間あるぞ」
「そういうゼロくんだって!授業開始時間10時って割と遅いよね。特にやること無いし早めに来ちゃった」
「ま、俺もルナと同じような理由だな。はっきり言って暇だ」
「何でこの時間なんだろうねー」
『それは教師の殆どが貴族だからだよ』
突然声を掛けられてびっくりして声の方に顔を向けた。
「あぁ、自己紹介が遅れたね。僕はライト=ヴォルレアン。よろしくね」
「俺はゼロ=グランディオだ、よろしく」
「私はルナ=エルサーラよ。ヴォルレアンって事は設計のヴォルレアン家?」
「そういう君は星光のエルサーラ家だね。いつも世話になってるよ」
「なんだ二人とも知り合いだったのか?」
「いや、親同士がね。僕の家は建築家だから、装飾のエルサーラ家とは縁があるんだ」
「そういやルナの家は装飾店だったな。かなりデカかったけど」
「私の家は装飾店の大手だからね、そういえば授業開始時間が10時の理由を知ってるの?」
「うん、ここの教師の殆どは上級貴族だ。上級貴族の仕事として一日の始めに国王陛下に謁見するんだ。でも謁見時間は国王陛下がいつ起床するかによるから授業開始時間が遅く設定されているんだ」
「成程それはまた面倒な事をしてるな。上級貴族を教師に当てるとか・・・校長が国王の側近だからか」
「ゼロ、国王陛下を呼び捨てにしちゃ駄目だよ。誰かに聞かれでもしたらどんな処分が・・・そういえば君は平民だったね」
「おう、だから問題ない。受ける処分がないからな!」
「・・・退学」
「あ、それはヤバい」
それからライト、ルナと暫く駄弁って時間を潰していた。