第75話 神は森の奥へ侵入する
緑の魔物の名前をどうしようか検討中
「うわっ滅茶苦茶いるな、この緑の魔物。本当に自爆だけか?」
他の魔物を突っ切って森の中に侵入すると、緑の魔物が無数に蔓延っていた。
一部は仲間に向かって自爆するなど、意志は無いようだ。
寧ろ無差別に爆発するので厄介極まりない。
「兎に角、この量が一気に爆発したら、どれだけ被害が及ぶか分からん。一体何なんだ?神代の時にはこんな奴居なかったぞ」
俺に気付いた緑の魔物は、シューという音を出しながら俺に近付いて来る。
「大規模殲滅魔法、『天閃神雷轟』」
大規模殲滅魔法により、無数にいた緑の魔物が全滅する。
緑の魔物からは焦げた後のように黒い煙が立っている。
「どれだけいようが、俺の前では無に等しい。さて、この奥に何があるのかな?」
俺は森の奥へと進む。
奥に進むにつれ、魔素が濃くなっていく。
魔素は人間には毒となる物質が含まれているが、それは濃くなった所で致死レベルではない。
致死なのは瘴素だ。
だが、魔物にとって魔素が濃い場所は生命力の源だ。
魔物は魔素を纏った動物だ。
それ故こういった場所には魔物が多く存在するのだ。
魔物・・・じゃないんだよなぁ、俺の目の前に居るのは。
「・・・はぁ」
俺の目の前には魔素を纏った紫の竜がそこにいた。
普通竜は魔素を纏ったりしないのだが。
不審に思い神眼を使ってみた所、この竜には隷属魔法が掛けられていた。
隷属魔法とは主に奴隷等に使われる魔法で、主人の命令に背く事が出来なくなる魔法だ。
この魔法が掛けられているという事は、この竜の裏にそれを操る黒幕がいるという事だ。
「人間よ、失せろ。ここは貴様のような劣等種が立ち入るような場所ではない」
紫の竜は俺に向かってそう語りかける。
まだ話せる余裕はあるみたいだな。
「だが、断る」
「ッ!人間の分際で我に歯向かうか!」
「隷属されている竜には言われたくないな」
「!貴様、我に隷属魔法が掛けられていると分かったのか!?」
「ああ、竜は魔素を纏ったりしないからな。その辺を探れば分かる」
「ならば尚更退け!今の我は制御が効かぬ。今も貴様を倒そうと闘争心が疼いておるわ!」
紫の竜は俺に向かって苦しく咆哮する。
「あー、ここに来る者を倒せとか命令されたのか」
「分かっておるならさっさと失せろ!我の制御が効くうちに!」
「まぁ待て。『魔法消失』」
俺が指を鳴らすと、竜に掛けられていた隷属魔法が消失する。
それと同時に竜を纏っていた魔素も消え、本来の竜の姿が取り戻される。
「なっ!我に掛けられていた魔法が消えている、だと?」
「まぁこの程度なら余裕だな。それで、誰にやられたんだ?」
「・・・分からん。我も気付いたら魔法を掛けられここに居た」
「ま、そりゃあそうだよな。取り敢えず、ここから離れる事は出来るか?魔物がビビって暴走してんだよな」
「分かった。我もこんな魔素が濃い場所は好まぬからな。直ぐに離れよう」
「ん、じゃあ俺は帰るわ」
「待て、我は不覚にも隷属魔法を掛けられた。また掛けられぬとも限らぬ。貴様は我よりも強い、圧倒的にな。我に隷属魔法を掛けて貰えぬか?」
「・・・良いのか?竜はプライドが高い。人間のもとに下るのは屈辱ではないのか?」
「何処の馬の骨とも分からぬ奴に従うよりかは、な。それに貴様は人間では無かろう」
「・・・フッ、良いだろう。『神隷』」
俺は紫の竜に隷属魔法を掛けると、竜の体は金色に光り出した。
「感謝する」
そう言うと、紫の竜は飛び立とうとしたが、俺はそれを引き留める。
「お前、俺と一緒に来るか?」
「な、何?良いのか?」
「二言はない」
「本当に感謝する・・・絶対神様」
竜は龍へ