第67話 神と聖者の行進(暗殺)
神の思考はよく分からん。そういうもんや
~イーゼルside~
ゼロは全てを終わらせると言った。
それはつまり、この下らない王位継承戦をも終わらせると言う事を意味している。
多分。
ゼロが何をするかは分からない。
だけどシナリオ通りなのはゼロだけじゃない!
「やっぱり王城の皆も洗脳されている。僕の"アレ"を動かしておいて正解だったね」
僕がソーンダイク軍務卿に頼んで動員させた部隊。
それは僕が秘密裏に作った僕直属の部隊だ。
彼らには王都の外で待機させてある。
何かあれば直ぐに動けるように指示してある。
本当に、この判断が出来て良かったよ。
今、この国の軍は洗脳によって機能を停止している。
そんな中、父上を暗殺したら、国民が混乱してしまう。
まぁ一番混乱するのは枢機卿だろうけど。
取り敢えず、ゼロの行動の後の体制は整っている。
後は、事が起こるまで・・・
~ゼロside~
やっぱりイーゼルはこの事を読んでいたのか。
さっき見掛けた奴らはイーゼルの秘密部隊だったのか。
神域の丁度範囲内に軍隊を展開していたから軍は全滅したと思っていたから、少し行動を変えよう。
国民の混乱はそいつらに任せるとして、俺は・・・
「うん、ここからなら大丈夫そうだな」
俺は王城の塔の頂上に転移した。
転移と言っても普通の転移ではない。
そもそも転移は一度行った場所じゃないと転移出来ない。
これは転移と同列の転移魔法。
目視で確認できる範囲内で転移出来る『転移』だ。
さて、ここの高所からなら誰にも気付かれる事はない。
俺は銃剣ラグナロクを取り出し、魔力を流す。
「銃剣ラグナロク、狙撃式起動」
俺は銃剣ラグナロクをライフルモードにして、国王を狙う。
後は然るべきタイミングの時まで・・・
~国王&枢機卿side~
国王は通りの中央にある演説台に立ち、演説を始める。
「我が国民よ。この度は建国100周年という非常に目出度い節目の年である。しかし我々はまだ大きな為すべき事がある!我が国は絶対神様から創り出された5人の神の子の直系の子孫を擁している。我が国は絶対神様が創りなされた国家と言っても良い!しかし、絶対神様が治めた神の国はこんなものではない!我々は周辺国に領土請求を行っているが、その国々からの返答はない!絶対神様が治めた土地は我々グランツ王国が引き継ぐべきだ!!」
国王がこの発言をした直後、枢機卿は部下に指示を出し、巨大な魔法陣を起動させる。
その魔法陣は白く光り、その光は天へと届いていく。
「絶対神様よ、我々の元に降臨なされよ。絶対神様よ、我々の元に降臨なされよ!!」
枢機卿は呪文のように何度もそう呟く。
「時は来た!『神話降臨』!!」
枢機卿がそう叫ぶと同時に国王もまた、国民に向かって叫ぶ。
「我々は絶対神様と共に!絶対神様の治めた神聖なる地を取り戻すべく!我々は全世界に向けて、宣戦ふk・・・・・・」
国王の言葉は最後まで発言する事は無かった。
国王は頭から血を吹き出し、その場で倒れる。
その姿に動揺したのか、枢機卿の能力である信仰が解け、国民が正気に戻る。
しかし目の前の血塗れの国王を見て、国民は大混乱に陥ってしまった。
補足:信仰による洗脳が解けても、洗脳中の記憶は残ります。なので国民は国王の演説の内容を覚えています。