第59話 神はオークを瞬殺する
セイル達は皆14歳なので、ゼロを年下扱いしています。これが普通。
ブモォォォォォオ!!!!
森の奥からやって来たのは、先程倒したオークより一回りも二回りも大きく、その咆哮によって周辺の木々が薙ぎ倒される程だった。
「な、何これ・・・?」
「これは・・・本当にマズイな」
「まさかB級のハイオーク!?」
レノ曰くハイオークと言うらしい。
B級という事は銀若しくは金ランクレベルだ。
ここに居るのは全員銅ランク、普通だったら撤退するのが妥当だが、ハイオークの咆哮に3人とも腰が抜けて動けそうにないな。
仕方ない、銃剣ラグナロクの性能を確かめる序でにハイオークを倒すか。
「銃剣ラグナロク、銃撃式起動」
俺の声に応えるように銃剣ラグナロクは剣の形から銃の形へと変化した。
態々手動で変えるのが面倒なので、言霊で変化できる魔法を組んでおいたのだ。
そして銃口をハイオークの心臓に向け、発砲する。
『瞬撃の弾丸』
放たれた一発の魔力弾はハイオークの心臓を貫いた。
傷口からは大量の血が吹き出て、暫く悶えた後、ハイオークは完全に絶命した。
「「「へ?」」」
何が起こったのか分からない3人は、素っ頓狂な声を上げる。
「大丈夫か?3人とも」
「う、うん。大丈夫だけど、これはゼロくんがやったの?」
「ああ、そうだが」
俺が肯定すると、レノとアルツは驚きつつも俺を称賛した。
「ハイオークを一撃で・・・同じ銅ランクとは思えないな」
「そうだね、ゼロくん凄いよ!・・・ってセイル!いつまでぼうっとしてるのよ!」
「・・・ハッ、あれ?あのでっかいオークは?」
「貴方の足元よ!ゼロくんが一人で倒しちゃったわ!」
レノが倒れたハイオークを指差して、セイルに怒鳴る。
ほんと、この二人仲良いよな。
セイルは既に倒れているハイオークを見て、何故か狼狽していたが、落ち着いた後、俺の異空間収納で回収し、ハイオークの出現を報告する為に冒険者ギルドへと戻った。
「お疲れ様です。カードを拝見しますね」
受付に出たのは、俺が冒険者登録する時に冒険者について色々と説明してくれた女性だ。
名前はリオナと言い、セイル達のような銅ランクを担当しているらしい。
俺にはエルカという俺担当の受付嬢が居るから知らなかったが。
俺達4人は冒険者カードを渡し、魔の森にハイオークがいた事を説明した。
「ハイオークですか!?本当なら急いで討伐依頼を出さないと」
「あ、いえ、それがもう倒してしまいたして」
「え?レノさん達がですか?」
「私達じゃなくてゼロくんが」
レノが俺を指してそう言う。
リオナは俺の冒険者カードを確認すると、驚いた顔をして受付の奥に向かってしまった。
数分後、リオナはエルカと共に戻ってきた。
「ゼロ様、次はハイオークを単独討伐なさるなんて、流石ですね!早速鑑定に行きましょう!」
「あー、この3人も連れていって良いか?一応パーティーを組んで討伐に向かった訳だし」
「はい、ゼロ様がそう言うのなら構いませんよ」
そう言うとエルカは4人を連れ、ギルド倉庫に向かった。
ここまでの会話を聞いていたセイル、レノ、アルツはこう思っていた。
「「「ゼロ(くん)って何者?」」」
鑑定が終了し、ハイオークは4万リコル(金貨4枚)で買い取られる事になった。
俺はそれを4等分し、セイル、レノ、アルツに金貨1枚ずつ渡した。
「ゼロ、僕達も貰っていいのか?何もしてないけど」
「俺が全部貰うってのもアレだしな。パーティーで討伐したんだから受け取る権利はあると思うし」
「ゼロ、有難く貰おう」
「ゼロくん、有難う!」
3人は俺から金貨を受け取った。
「ねえ、折角だしゼロくんを入れて打ち上げやらない?」
「お、いいね!」
「俺も、賛成」
「どうかな?ゼロくん」
「俺も良いぞ」
「よぉし、早速向かうぞー!」
俺達は冒険者ギルドを出て、食堂へと向かった。
金額を何リコルという数字で表すか、金貨何枚とか枚数で表すかどっちにしよう?