第58話 神はパーティーに入れられる
銃剣とガンブレードって全然違うけど、別に良いよね?
俺は銃剣ラグナロクを手に冒険者ギルドへ戻ってきた。
勿論依頼を受ける為だ。
俺は銅ランクの掲示板を眺めて、どの依頼を受けようか考えていた。
それにしても討伐依頼って結構あるな。
王都から外に出ると、大きな街があるまで整備がなっていない為、魔物が多く出現するらしい。
ったく道ぐらいちゃんと整備しろよ。
まぁ適当にオークの討伐依頼でも受けるか。
俺が依頼の張り紙を取ると、横から声が聞こえた。
「ねぇ君、その依頼受けるの?」
俺が声のする方へ振り向くといかにも冒険者、という格好をした人が3人いた。
「ああ、そのつもりだが」
「じゃあ僕達のパーティーに入らない?僕は剣士のセイル。こっちは魔法使いのレノ、その隣が槍術士のアルツ。この3人でパーティーを組んでいるんだ。」
セイルがそう言うと、後ろの二人も自己紹介をした。
「レノです。魔法使いをしています」
「俺はアルツ、槍術士だ」
「実はついこの前まで4人目がいたんだけど辞めちゃって。だからその穴埋めを探していたんだ。良かったらどうかな?えっと・・・」
「俺はゼロだ。だが俺のレベルだと(高すぎて)合わないと思うぞ」
「大丈夫だよ!僕らは銅だけど強いからさ!」
そう言う事じゃないんだが、まぁ良いか。
「まぁ、別に良いぞ」
「本当?良かったぁ。二人も良いよね?」
「ええ、いいわ」
「俺は構わない」
「じゃあ早速依頼を受けよう!」
俺はセイル、レノ、アルツのパーティーに入れられ、オークの討伐依頼を受ける事になった。
オークがよく出没するのは王都の西門から出て直ぐ、通称魔の森と呼ばれる場所だ。
ここは魔素が充満しており、魔物が多く発生している。
特にオークの被害が多発しており、その為オーク討伐の依頼があったのだ。
俺はその道中にセイル達に色々と訊ねていた。
「セイル達はいつも何か狩ってんの?」
「そうだぞ!この前だってゴブリンを一体・・・」
「お前結局何もしてないだろ」
「そうよ!私の魔法で倒したんだから!」
「あはは、そうだっけ?」
「全く、ごめんね。こんなリーダーで」
凄く不安だ。
最早オークを倒せるかどうかでさえ疑問になってきたぞ。
「何か能力があったりするのか?」
「平民に能力なんてある訳ないよ。レノだって魔道具のお陰で魔法使えるんだろ?」
「魔道具?」
「ええ、魔素の腕輪って言って、空気中の魔素を魔力に変換出来る魔道具なのよ」
へぇー、そんな魔道具があるのか。
平民でも魔法が使えるようになるのは凄いな。
「まぁ魔法なんてなくても僕の剣さばきで・・・」
「それじゃあまず魔物を見ても怯えない事ね」
「前回のように」
「あ、あれは偶々だ!」
そうこうしている内に、目的地である魔の森へと到着した。
確かに他の場所より魔素が濃い。
って言うかこの魔素って気体の水銀じゃないか。
この程度なら人間には影響はないけど、これ以上濃くなると危険だな。
さっさとオークを狩ってしまおう。
「いた!オークだ!」
セイルが一体のオークを見つけると、それに向かって飛び出す。
「ちょ、ちょっとセイル!」
「喰らえぇぇぇぇぇぇ!!」
ザシュッ
セイルの剣がオークの右腕を吹き飛ばす。
ブモォォォォォオ
腕を斬られたオークがセイルに向かって殴ろうとする。
「『火炎』!」
レノが炎魔法を放ち、セイルが殴られる寸前で、オークは力尽きた。
「ちょっとセイル!勝手に飛び出さないでよ!危ないじゃない!」
「セイル、周りを考えろ」
「ハハハ、ごめんごめん」
セイルを見た感じ全く反省していないな。
慢心は身を滅ぼす。
そうなる前に気付けばいいのだが。
「ごめんで済んだらこうはならない」
アルツがそう言うと、周りから数十体のオークがやって来た。
恐らくさっきの咆哮で仲間に気付かれたのだろう。
「う、うわっ!こんなに!?」
「アンタのせいよ!ほら戦うわよ!ゼロくんも行ける?」
「ああ、問題ない」
俺は銃剣ラグナロクを鞘から抜く。
そしてセイル、レノ、アルツ、俺はそれぞれオークを倒して回り、数分後オークは一掃された。
「ふぅ、こんなものね」
「所詮オーク、その程度しかない」
「ハァ、ハァ、何で二人ともそんなに余裕なの?」
「「あんた(お前)が弱いのよ(んだよ)!」」
「辛辣!」
全く、仲が良いのは何よりだが、もう少し周りを見る力が必要だな。
俺は森の奥から忍び寄る影に目を向けていた。
魔素をこの世界に存在するオリジナル元素にするか、毒性のある元素が気体化したものにするか、迷った結果後者になりました。