第5話 神は入学する
ゲールノーア学園職員室
中にいる教師たちは何やら騒いでいるようだ。
「今回は前回よりも中々優秀な生徒が集まっていますなぁ」
「当然ですよ。今年はあの五英傑が受けられたんですから」
「やはり特待生は五英傑ですかな?」
「いやしかし貴族の他にも優秀な生徒がいるとか」
「そういえば、受験生の中に一人だけ平民がいたそうですよ」
「平民如きがこんな所に受けに来るとか草が生えますなぁ」
バタン!
入試担当の教師が勢いよく扉を開けた。
「にゅ、入試の結果が届きました!」
「おー、それでどうだったのかね。やはり満点は五英傑かね?」
「そ、それが・・・平民出身のゼロ=グランディオ君が満点です!」
「何!?平民だと?それは本当かね?!」
「はい、筆記満点、実技満点。学園史上初です!」
「何を騒いでいるのかね?」
「ゲールノーア校長!」
「ふむ、平民如きが満点を出しているとな?そんな事があるわけないだろう」
「しかし、これを見ていただければ・・・」
「特待は五英傑で確定だ!うちの入試は得点は公表していない。その平民は通常合格にしておけ!これは命令だ!!」
「は、はい・・・」
数日後、合格発表の日
「受かってるといいなー」
「まぁ、大丈夫だろ。ルナに限って落ちることはないだろ」
「そうだといいけど、あっ!発表されるよ!えーと・・・・・・やった!受かってるよ!ゼロくんは?」
「・・・俺も合格だ。Aクラスだな」
「私もAクラスだよ!これからよろしくね!」
そんな会話をしているとルナが合格発表の上部を見る。
「やっぱり五英傑は特待だねー」
「特待?」
「筆記・実技共に優秀な結果を出した者にのみ与えられる特権だよ」
あいつらが特待?
どう見てもショボかっただろうが。
まぁ大方貴族優遇ってとこかな。
やはりこの国は貧富差別が大きいな。
こういうのは権力を維持するのには有効だからな。
「特待でもその程度なら何て事ないな」
「そんな風に言えるゼロくんは凄いよ」
ルナは失笑しているが、実際はそうだ。
貴族優遇があると言うことは、今までもその特別扱いを受けてきたと言うこと。
まして五英傑なら尚更だ。
そんな奴等に平民である俺が勝ったらどうなるのか。
まず権力のパワーバランスが崩壊してしまう。
即ち下剋上だな。
それは国家としては致命的だ。
学園にそれ相応の力を持つ者がいたらまだ良いのだが、五英傑であの程度だと、その下もたかが知れている。
この腐った国を潰すには好条件と言うことだ。
とは言っても直ぐに実行した所で意味がない。
ある程度の準備が必要だ。
まぁその事は在学中にでも考えるか。
入学式を終え、自身の教室に入る。
「予想はしてたがやはり五英傑も同じクラスか」
「この学園のクラスは入学試験の成績順になっているからね」
「えーめんどい」
国家の機関であるこの学園に入れば、色々と情報が手に入るかなと思って行ったは良いものの、そもそも座学に関しては転生前の時から俺の右に出るものはいなかった。
今更生温い授業を受けるのは少々気が病む。
それに能力のレベルも相当下がっているからな。
いや、逆に低レベルの方が変な要求してこなくて気が楽か?