第55話 神は王子に提案する
因みに受け取った金は全て異空間収納へ
ゼロがホーライ草採集のクエストに向かっている最中、色々な所でゼロは影響を与えていた。
~国王side~
「何!?ゼロ=グランディオが冒険者になっただと!?」
近衛兵からそう報告を受け、国王カイロス=グランツは頭を抱えていた。
それもその筈、ゼロを貴族にして、国家の支配下に置きたかったのに、国家が支配出来ない冒険者になってしまったのだ。
「どういう事だ?奴は学園に通っている!冒険者になるのは来年度からではないのか!?」
その国王の疑問に宰相エルイト=ウィンドーラが答えた。
「恐らく、名誉爵という身分の穴を突かれたのかと。爵位を持つ人間は学園の出席を免除されます。出席する必要が無い分、学園に通うより冒険者になった方が良いと思ったのでしょう」
「ぐぅぅ、まさかイーゼルの入れ知恵か?」
「それは分かりませんが、何らかの関与はあったかと思われます」
「やはりイーゼルか、まぁ良い。余の計画は予定通り遂行する。エルイトよ、問題は無いか?」
「はい、問題はありません」
この国王と宰相の言葉をゼロは知る由もない。
~ゼロside~
俺は今日の依頼を終え、クラブに行く為に学園へ向かった。
「あっ!ゼロく~ん!」
部室の扉を開けるとルナが出迎えてくれた。
「・・・何か増えてね?」
この統一魔法クラブは俺を含め4人だった筈だが。
「前に言っただろ?入部希望者が結構いたと。皆入部したからこの人数だよ」
イーゼルが周りを見ながらそう答えた。
「ねぇねぇゼロくん、冒険者はどうだった?」
ルナを俺の腕を抱き寄せ、質問してきた。
「ちょっと!ルナだけズルいですわよ!」
そう言うとカーシャも俺の腕を抱き寄せた。
あれカーシャ居たのと思ったら、イーゼルがカーシャも入部したと教えてくれた。
まぁ、良いけど。
「取りあえずサクッとオルトロスを倒してきた」
俺の言葉に皆一瞬フリーズするが、直ぐに戻ってまぁゼロだし、的な反応を見せた。
「凄いよ!ゼロくん!」
「流石私の婚約者ですわ!」
まだなってねぇよとツッコミを入れながら、冒険者について色々と語った。
~イーゼルside~
まさか冒険者初日にオルトロスを討伐してくるとは思わなかったな。
まぁ紹介状に規格外って書いておいたし、ちゃんと対応出来ていたら良いんだけどな。
『おい、イーゼル。聞こえるか?』
『こいつ直接脳内に・・・!っていう茶番は置いといて、どうやって脳に直接語りかけているんだ?ゼロ』
『思念魔法の一つ、念話だ』
念話って、また消失魔法じゃないか。
しかも、普通に話ながら念話で別の事を話せるって。
本当に人間なのか?
『そんな事より一つ伝えたい事があってな』
『伝えたい事って?』
『先日イーゼルが話したあの作戦、イーゼルがイリスに勝てる前提の話だったが、本当に勝てるのか?』
・・・確かに。
この作戦をするなら姉上に勝たないと駄目じゃないか。
勝てる気がしない・・・
『という訳でこっちから提案だ。国王は俺が何とかする。だから、イリスを失脚させろ』
『失脚?』
『ああ、力で勝てないなら権力の根本を叩けば良い』
『簡単そうに言っているけど、それ滅茶苦茶大変だよ?』
『いや、実はそうでもない。イリス側の勢力の悪事を暴けばいい話だ。そもそもこんな腐敗した国に腐敗した貴族等そこら中にいるだろ?』
『そう言う事ね。まぁやれるだけやってみるよ。それで父上を何とかするって言ったけど、どうやるの?』
『・・・暗殺?』
『・・・ゼロなら余裕で熟せそう』
『だろ?暗殺ほど手っ取り早く権力を奪えるものは無いからな』
『じゃあ頼むよ。僕にとって父上なんて邪魔以外何者でもないから気にせず殺していいよ』
『イーゼル、お前案外辛辣だな』
~ゼロside~
イーゼルとの念話を終え、ルナとの会話に戻ると、ルナがある提案をした。
「ねぇゼロくん、今度の建国祭カーシャと一緒に周らない?」
建国祭といえば、グランツ王国の建国を祝う祭りで王都中に出店やら屋台やらが立ち並び、どんちゃん騒ぎする祭りだったな。
「ああ、俺は構わない」
「やった!カーシャも良いよね?」
「勿論ですわよ!ゼロ様とのデート、行かない訳にはいきませんわ!」
カーシャがデートと言うで、ルナは顔を真っ赤にして照れている。
「ゼロくんとデート、エヘヘ(*´∀`)♪」
凄く嬉しそうだった。
~???side~
ある場所にて
「そうか、奴は冒険者になったか。嬉しい誤算だな」
「何でもオルトロスを単独討伐したとか」
「矢張り奴にはこれが相応しい。もうすぐ、もうすぐ私の計画が実現する。待っていろよ・・・"蜊∽コ梧弌蠎ァ縺ョ蝎ィ"」
国王暗殺決定のお知らせ
あっ、最後の文字化けは仕様ですよー