第54話 神は大金を手に入れる
あれ?オルトロスって双頭だったっけ?(今更)
俺は異空間収納からオルトロスの死体を取り出す。
「双頭の狼・・・確かにオルトロスです!まさか一人でA級を討伐するなんて!」
「なあ、そのA級ってのは何だ?」
俺はエルカにそう尋ねると、魔物の級について説明してくれた。
魔物には強さに応じて級が設定されている。
D級は初心者でも倒せる弱い魔物。
C級は経験者が単独で倒せる程度の魔物。
B級は複数の経験者がしっかりと装備をした上で倒せる程度の強い魔物。
A級はギルドが大規模討伐隊を組み、大人数で挑んでギリギリ勝てる程度の迚も強い魔物。
そしてS級は普通の人間ではどうしようも出来ない程強く、天災とも呼ばれている魔物だ。
「このように魔物の強さによって級が分けられているんです。このオルトロスはA級なので、普通はギルドが大規模討伐隊を組むレベルですよ!」
そうだったのか。
まぁ俺の剣も折れたし、弱くは無かったがな。
「で、このオルトロスも買い取り出来るのか?」
「出来るとは思いますが、相場が分からないので、一度本部長に聞いてみないといけませんね。ゼロ様、本部長をお呼びしますので少しお待ちください」
そう言うとエルカは受付の奥へと消えていった。
~エルカside~
エルカは受付の奥にあるギルド本部長室の扉を叩く。
「本部長、いらっしゃいますか?」
「いるぞ、入れ」
エルカは扉を開け、本部長室の中に入る。
「して、何用だ?もしかしてゼロ=グランディオか?」
「あ、はい!ゼロ様がA級のオルトロスを単独討伐なされて、その査定を」
「はああ!?オルトロスを単独討伐ぅぅぅ!?」
「ひゃっ!急に大声を出さないでくださいよ~。人の事言えませんけど」
「取りあえずギルド倉庫に案内させない」
「は、はい。分かりました!」
エルカは一礼して受付へ戻っていった。
~ゼロside~
俺が受付で暫し待っていると、エルカが戻ってきた。
「お待たせしました!ギルド倉庫に案内しますね」
エルカに連れられ、ギルド倉庫にやって来た。
中はそこそこの空間があり、沢山の素材が保存されている。
「では、まずホーライ草をお願いします」
エルカに言われ、俺はホーライ草2351本を異空間収納から出す。
エルカがホーライ草を専用の箱に仕舞い、コンベアに乗せる。
すると、その箱は自動的に倉庫の中に収納されていく。
それと同様に、俺が倒した5体の狼の素材もコンベアに乗って収納された。
倉庫への納品が終わると、ギルド本部長のザンダが本を持ってやって来た。
「すまん、オルトロスの相場調べてたら遅くなった。早速査定するから、オルトロスを出してくれ」
そう言われ、俺は異空間収納からオルトロスの死体を出す。
「うぉ、おう。確かにオルトロスだな。王子殿下が規格外と言うのも分かるぞ。それに首を一刀両断か。ここまで傷がないと、相当価格が跳ね上がるな」
本部長をブツブツ言いながら、オルトロスを査定していく。
「・・・よし、決まったぞ。10億で買い取ろう」
その金額にエルカは驚いているようだったが、俺は違う感情を抱いていた。
「・・・10億の価値ってどのくらいだ?」
「10億あれば王都に庭付きの豪邸が買えるな」
「あっ、そんなに」
「それほど希少価値のある素材だと言う事だ。既にある程度の金額は準備してあったから、早速支払おう」
そして本部長室にて、ホーライ草2351本、ウルフ5体、そしてオルトロスを合わせて、総額10億23万5600リコルの報酬を受け取る事になった。
「白金貨10枚、金貨23枚、銀貨5枚、銅貨6枚、これで10億23万5600リコルだ」
この国では数の単位によって違う金属の貨幣が用いられる。
それを纏めたのがこれである。
100リコル=銅貨1枚
1000リコル=銅貨10枚=銀貨1枚
1万リコル=銀貨10枚=金貨1枚
1億リコル=金貨1000枚=白金貨1枚
1兆リコル=白金貨1000枚=金剛貨1枚
因みに通貨価値は1リコル=1円である。
読者に分かりやすい配慮!
俺はこの大金を受け取り、冒険者ギルドを出た。
通貨価値が1リコル=1円と言うように基本は現実世界に合わせています。
以前出したアセノスフェアのように現実世界における名称を使用します。
ですので太陽は太陽という名ですし、月は月という名です。
太陽系も存在し、星座や星雲等も全て現実世界と同じです。
つまり、今我々がいる現実世界がこの世界に置き換わっただけです。
よって現実世界の名称をバンバン出しますが、それも設定として把握しておいて下さい。
要は自分が新たな名称を考えるのが面倒なだけですすいません。