第51話 神は冒険者になる(前編)
第2章スタートです!因みに方向性は決まってない。その時の気分次第。
翌日、各種手続きを済ませ、学園寮から出ると、イーゼルが待っていた。
「やぁゼロ、見送りに来たよ」
「学校を休んでまで見送りに来るバカがいるか。何かあんのか?」
イーゼルは一枚の封筒を俺に渡す。
「これ一応紹介状書いといたから受付で渡しておいてって言うのと、あと君に聞いておきたい事があってさ。・・・君の能力は何なの?」
「・・・何故それを聞く?」
「実は能力を持っている冒険者は自分の能力を開示しないといけないって言う誓約があってね。君は明らかに能力持ちだし、君が冒険者になったら、難しいけど調べる事は出来るし。だけど僕は君から直接聞いておきたいんだ」
俺は少し考える。
俺は今まで平民として能力を持っていないという設定でやって来た。
だが、あれだけ派手にやれば、誰だろうと俺が何かしらの能力を持っていると気付くだろう。
そう、気付くだけなら良かったんだけどな。
まさか冒険者になると能力を開示しないといけないとか聞いてないぞ。
名誉爵になった今、能力を持っていないというのは少し厳しいし。
うーん、まぁ能力を言ったところでその能力の内容は分からないだろうし、俺の正体に気付いた所で大した実害は無いし・・・
「・・・俺の能力は絶対だ。それ以上は詮索するな」
「・・・まさか本当に言ってくれるとは思ってなかったな。それほど信頼されているなら良かったよ」
「フッ」
俺はイーゼルの横を通り過ぎ王都の冒険者ギルドへと向かった。
「絶対か、またよく分からない能力だな」
去っていくゼロを見送りながら、イーゼルはある一つの可能性を思い浮かべていた・・・
「ここだよな、冒険者ギルド」
俺は王都の冒険者ギルドの前へとやって来た。
目の前の看板には≪冒険者ギルドグランツ王国本部兼グランセル支部≫と書かれている。
中に入ると多くの冒険者で溢れかえっていた。
その人混みを押し退け、俺は受付へと向かった。
「すみません」
「あら、どうしたの?ボク」
受付の女性がそう尋ねる。
それにしてもボクって。
ああそう言えば俺まだ10歳だったな。
「冒険者登録をしたいのですが、あとこれ、紹介状」
「受け取りました。ではこちらの書類にご記入ください」
渡された書類を見ると、氏名・年齢・身分・能力の有無と能力名・属性を書く欄がある。
俺はそれを記入していく。
氏名、ゼロ=グランディオ。
年齢、10歳。
身分、平民・・・じゃなかったな、名誉爵っと。
能力の有無、有に丸で、能力名が絶対と。
属性が、全属性保持者。
何か途中で受付の女性の奇声が聞こえた気がするけど気のせいかな?
俺は書き終わった書類を受付の女性に出すと、それを受け取り、大急ぎで奥に向かっていった。
どうしたんだ?と思っていると別の女性がやって来た。
「現在冒険者カードを発行しております。それまで冒険者について私が説明させて頂きますね」
そう言うと冒険者について説明し始めた。
冒険者ランクは大まかに6段階に分かれている。
下から鉄、銅、銀、金、白金、金剛の6種である。
鉄ランクは全冒険者の3割を占める。
能力を持たない平民が多くここに属しており、採集や運搬など、誰でも熟せるような依頼を受ける、所謂初心者レベルである。
銅ランクは全冒険者の2割を占める。
このランクから魔物討伐等の依頼を受ける事が出来、ある程度の戦闘が出来るレベルである。
銀ランクは全冒険者の2割を占める。
このランクから要人護衛やダンジョン調査等の依頼を受ける事が出来、ベテランと呼ばれるレベルである。
金ランクは全冒険者の2割を占める。
このランクからは大規模討伐を受ける事が出来る事だけでなく、個人への指名依頼が来るようになる、プロと呼ばれるレベルである。
白金ランクは全冒険者の1割を占める。
このランクは一般人がなれる最高ランクであり、居るだけで尊敬されるほど。
ギルドにとって白金ランクが居るか居ないかで優劣がつけられるとも言われ、救世主と呼ばれるレベルである。
因みにこのギルドには白金ランク冒険者ガルシア=エーゼンベルツがいる。
そして金剛ランクは全冒険者の中で数人しか存在しないと言われている。
たった一人で数万人と同等の戦力を持ち、たった一人で国を滅ぼせるとも言われている、伝説的なレベルである。
そして冒険者の身分証明として冒険者カードがある。
冒険者カードはランクに応じた素材で作られており、鉄ランクなら鉄で、銅ランクなら銅で、そして金剛ランクなら本物のダイアモンドでカードが作られる。
そしてそのカードには氏名、所属ギルド、能力が書かれており、そのカードがあれば国境をも越えれるという、万能な身分証明である。
そして、その女性は更に説明を続けた。
説明が長いので前後編と分ける事にしました。