第50話 神は告白される
ゼロとルナの関係は・・・
イーゼルとの話が終わり帰ろうとしていると、ルナが話しかけてきた。
「ゼロくん、この後時間ある?」
「ああ、特に用はない」
そう答えるとルナは俺の手を引いて空き教室に入った。
「ねぇ、ゼロくんはカーシャさんと婚約するの?」
「別に了承した覚えは無いがな」
「そっか・・・ゼロくんが冒険者になったら、もう毎日は会えないね」
「まぁ確かに。だが、元々半年後には同じ状況になってた訳だし、それがただ早かっただけだな」
「私は・・・ゼロくんと会えないのは淋しいよ」
「・・・クラブには顔を出すつもりだし、それにもう二度と会えない訳じゃないだろ?」
「ゼロくん・・・私は・・・ゼロくんの事が好きだよ・・・だから・・・私も連れてって・・・」
ルナは霞んだ声でそう告げる。
夕日の反射でルナの表情は分からないが、ルナの目には涙が浮かんでいた。
俺は神だ。
神族には恋愛感情という物が存在しない故、俺がルナに何かを感じる事はないだろう。
だが、ルナの思いは感じる事が出来る。
それは一方通行の感情だ。
だからその感情が行き止まってはいけない。
俺はこの場面での最適解を示さなければならない。
俺はルナにこう応えた。
「・・・ルナの気持ちは確かに受け取った。ルナがそれを望むなら俺は拒否しない。それがルナの思いなら、俺はそれを受け止める」
「!?ゼロくん・・・」
涙を流すルナを俺は抱き締める。
その時間は暫く続いた・・・
「・・・で、ルナを連れていける事は可能なのか」
「・・・え?」
俺は後ろにいる人物に向かって尋ねる。
「やっぱり居るの分かってたか」
「まぁゼロ様なら気付いていると思いましたわ」
教室の外からイーゼルとカーシャが入ってきた。
「イーゼルくん、カーシャさん!?どうしてここに?」
「そりゃあ勿論二人が気になって」
「私も同じ理由ですわ」
「あ、あわわわわわわ」
そう言うとルナは恥ずかしさのあまり、その場に縮こまってしまった。
俺はそれを横目にイーゼルに質問の答えを求めた。
「それで、俺の問いの回答は?」
「出来ない事は無いけど、その場合ルナはゼロと違って退学という事になるね。話は変わるけどあの対応は微妙じゃない?」
「俺がそんな技術を持っていると思ってんのか?それにしても良いのかカーシャ?お前俺と婚約したかったんじゃ無かったのか?」
「あら?知りませんの?この国では一夫多妻が認められておりますの。私がゼロ様と婚約する事は確定ですが、別に他の女を作っても私は構いませんわ」
「一体いつ婚約する事が確定したんだ?」
「ゼロ、貴族の婚約はそう言う事があるから」
「そうですわ。だから私はルナさんにこう提案しましたわ。ゼロ様を愛するなら貴方も婚約すれば良いと。まさか今日告白するとは思いませんでしたわ」
和解ってそう言う意味か。
だからさっきは清清しい表情をしていたのか。
で、いざ告白しようとしたらこうなったと。
うん、人の恋愛は良く分からん。
「それで結局ルナはどうするんだ?」
ルナは下を向いて考えている。
俺と学園ので天秤に掛けているのだろう。
学園を退学してまで俺に着いていくか、会える日は少なくなるが学園に留まるか。
俺としては後者の方がルナの為になると思うが。
と、ルナは答えが出たようだ。
「私は・・・学園に残る」
「・・・俺はルナの意思を尊重するよ」
ルナは俺の手を握り、顔を合わせてこう言った。
「ゼロくん、絶対会いに来てね。来なかったら許さないから!」
「ああ、約束は守るさ」
イーゼルとカーシャはいつの間にか居なくなっていた。
空気を読んで退出したんだろう。
「じゃあルナ、もう遅いから家まで送っていくよ」
「う、うん。ありがと」
こうして俺とルナは帰路についた。
その途中でルナは俺に話しかけてきた。
「ね、ねぇゼロくん?」
「どうした?」
「婚約・・・はまだ早いけど、付き合うって事で良いのかな?」
「ああ、そうだな」
「そっか、良かった(///ω///)♪」
それからルナの家に着くまで、俺とルナは手を繋いで歩いていった。
という訳で第1章完結です。次回からは冒険者編です。第1章以上にゼロが無双するので楽しみにしていてください!