第48話 神は求婚される
ハーレムになるかならないかは未定
「ゼロ様、私と婚約して頂けませんか?」
突然の出来事にクラスメイトの皆が固まる。
というかこの人誰だっけ?
ああ、そういえば・・・
「確か、カーシャ=ベルナリンだったっけ?」
「はい、私がカーシャ=ベルナリンですわ」
「な、な、な、ゼロくん!一体どういう事!?」
ルナが明らかに動揺している。
いや、俺もどういう事か教えてほしいよ。
「俺に聞くな。それでどういう訳だ?カーシャ」
「そんな大層な理由ではありませんわ。ただ私がゼロ様を愛し、ゼロ様と契を結びたいだけですわ」
カーシャは俺の手を握り優しく微笑む。
よくもまぁこんな公衆の面前でと思っていたらルナが飛び出した。
「だ、だ、だ、駄目ーっ!」
「あら、どういう意味かしら?ルナ=エルサーラさん?」
「だ、だって、私は・・・ゼロくんの・・・事・・・」
ルナは顔を赧めてぶつぶつ言いながら下を向いている。
するとカーシャは俺の腕を掴んで尋ねてきた。
「ゼロ様は私と婚約する事が嫌ですか?」
嫌とかそう言う問題じゃないと思うが。
「こんな事を俺が勝手に決めても良いのか?確かカーシャは伯爵家だろ」
「はい、貴族同士であれば当人の了解があれば婚約出来ますの。私はゼロ様が貴族になられる日を待ちわびていましたわ」
「っ!ちょっと!勝手に話を進めないでよ!」
ルナもまたカーシャが掴んだ反対側の腕を掴み、カーシャに抗議する。
その後、暫く二人の口論が続き、俺はその場を動けなかった。
イーゼルに助けろという合図を送ったが、まぁ頑張れという表情で何もしなかった。
酷い。
「あー、忘れていると思うから言っておくが、そもそも俺は婚約出来る歳じゃないぞ」
二人の口論は止まり、一時の静寂が流れる。
そもそもこの国では婚約出来る年齢は12歳からである。
10歳である俺はまだ婚約出来ないのだ。
「そ、そうでしたわ。ゼロ様が学園に来なくなると聞いて居てもたってもいられませんでしたわ」
「そうだったねゼロはまだ10歳だもんね。(はぁ、良かった)」
「ではまた2年後、改めて婚約を」
「そう言う事じゃないでしょー!」
再びルナとカーシャで口論が始まるのだった。
「ほら、席に着けー!ホームルーム始めるぞ!」
アスク先生が入ってきた事によって口論は収束した。
「さて、皆も知っているようにゼロが名誉爵になった!それに伴いゼロはこれから自由登校になる!手続きは既に済ませてあるから、ゼロはこの後から自由にしていいぞ!それでは・・・・・・」
アスク先生の話が終わりホームルームは終了した。
自由にしていいと言われたが、暇なので一応授業を受けた。
そして放課後になり、俺はクラブへと向かった。
「やあゼロ、朝は大変だったな(笑)」
「そう思うなら助けに入れよ」
「いや、逆にあの状況で助けに入れるとでも?」
「・・・それもそうだな」
「まぁ婚約者のいない彼女にとって君は格好の的だった訳だが」
「はぁ、そう言えばイーゼルは婚約者とかいるのか?」
「いるよ、と言うか貴族は12歳になった時点で婚約者を決められるからね。拒否は出来るけど」
「政略結婚か、貴族は大変だな」
「そう言う君も貴族だろう?」
「・・・俺まだ10歳、子供だから分かんない」
「どの口が言うか」
この会話によってルナとライトが来るまでの暇は潰されたのだった。
補足
ゼロのクラスの中で婚約者がいない女子はカーシャとルナだけです。後は察せよ