第46話 神は叙爵される
ゼロは名誉爵なんで貴族になりました。フラグ回収
「第6代国王カイロス=グランツの名において、汝、ゼロ=グランディオに名誉爵位を授ける」
・・・は?
ヤバい、予想外過ぎて素っ頓狂な声が出てしまった。
えーとこう言う時は何て言うんだったけ?
「・・・我、国の為、国王陛下の為、その能力を奮わん」
「うむ、ウィンドーラ宰相よ。アレを」
「はっ!ゼロ=グランディオ卿、こちらをどうぞ」
ウィンドーラ宰相は黒い章飾を俺に渡す。
「えーと、これは?」
「名誉爵位の章飾である。これを胸に着けよ」
貴族の当主、即ち爵位を持っている人物は全員胸に章飾を着けている。
名誉爵は黒色、騎士爵は茶色、準男爵は紫色、男爵は黄色、子爵は赤色、伯爵は白色、辺境伯は緑色、侯爵は青色、公爵は銀色、そして王家が金色である。
このように貴族の階位によって色が異なる為、見ただけでどの爵位か分かるようになっている。
この制度はここグランツ王国だけでなく、他の国も採用している為、外交関係でも問題なく判別出来るのだ。
尤も、この国は現在国境を封鎖しており、外交なんて無いに等しいが。
俺は渡された名誉爵の章飾を胸に着ける。
そのまま国王陛下との謁見が終わり城を出ようとすると、道中でイーゼルと出会った。
「父上との謁見はどうだった?何かされた?」
「ああ、何でか分からんが名誉爵になった。ほら、章飾」
俺は胸の章飾をイーゼルに見せる。
「は?マジで?え・・・あー、あ゛」
「ど、どうしたよ?何か問題が?」
「うーん、実はその章飾って、ただ爵位を表す為の物だけじゃないんだ。この国では章飾に探知魔法が付与されていて、その全てが把握されているんだ」
「つまり、これを着けている者は絶えず監視下にあるって事か」
俺は自分の章飾を確認する。
確かに探知魔法が掛かっているが、精々中級程度か?
どちらにせよ劣等魔法だな。
「貴族に反乱を起こさせない為の措置だけど、まさかゼロに叙爵するとは・・・完全に想定外だ」
俺もまさか叙爵されるとは思わなかったさ。
「だったら探知魔法を偽装しつつ、無効化すれば良いのでは?」
「いや、その行為をした時点で気付かれる」
「それもそうか。ん?て事はまさか」
「うん、君の行動は全て筒抜けとなる。恐らく本意は強大な力を持つ君を王国の管理下に置きたかったからだろうけど、あぁまた僕の作戦が潰されたよ」
建国祭直前行われる王立図書館の禁書保管室の罠の点検。
そこの隙を突いて侵入する作戦だったが、行動が把握されるなら隠蔽魔法なんて使ったら直ぐにバレるな。
「確かにこのまま禁書保管室なんて行けたもんじゃないからな」
「取り敢えず、どうするかはこっちで考えるよ」
イーゼルはガッカリした様子だ。
そりゃあ王国に自分の計画を邪魔されたらそうなるわな。
「まぁ頑張れ、それじゃあまた明日学校で」
「・・・あ!」
俺のその言葉に何か気付いたのか、イーゼルは声を発する。
「どうしたイーゼル、まだ何かあるのか?」
「ゼロ、もう学校来る必要ないかも」
「・・・ふぇ?」
「爵位を持つ者は特例として、来なくても欠席にはならないんだよ。過去にそういった人は居なかったけど、確かそういう規定があった筈だ。まぁ来ちゃ駄目って事じゃないから、そこは自由だけど」
「まぁ学校の授業なんて大概暇だし、行く意味無いっちゃ無いけど」
「君の実力ならそうだよね」
俺は学校に行く必要が無くなった。
予定していた章を半分に分割しようかな?