第43話 神は勝利の余韻に浸る
途中で視点が替わるけど読めば分かるから問題ないよね!
閉会式が終わり、俺達の元にクラスメイトが集まってきた。
それぞれ賞賛の声や歓喜の叫びを上げる中、ルナが話し掛けてきた。
「優勝おめでとう、ゼロくん!」
ルナは弾けるような笑顔で賛辞を送る。
心做しか瞳が星になっているように見える。
「ありがとう。そう言うルナはどうだった?」
「私も優勝したよ♪一緒に出れるね」
ルナはぴょんぴょん跳ね、喜びながら答える。
ん?一緒に出れる?
・・・Σ(゜Д゜)
「そういや舞踏会があったな・・・」
優勝の副賞に舞踏会への招待状があったの忘れてたな。
いや、出来れば忘れていたかったな。
「忘れちゃ駄目だよ。一応王家から招待されている身なんだからさ」
「イーゼル、俺の心を読むな」
「読んだつもりはないけどね。でも本当に忘れないでよ?」
「・・・分かっているさ。流石にな」
イーゼルが言った通り、この舞踏会は王家主催だ。
招待されたのに行かない訳は無いだろう。
「その舞踏会って他に誰が参加するんだ?」
「そうだな、公爵家や有力伯爵家、他にも様々な貴族が参加するな。まぁゼロやルナのような貴族以外の人は滅多にいないから心細いかもしれないが」
「まぁそれもそうか。平民を相手にする奴の方が珍しいしな」
「ふっ、ルナと踊れば良いじゃないか?」
イーゼルがルナに目線を向け、そう尋ねる。
「えっ?う、うん!私ゼロくんと踊るっ!」
ルナは少し戸惑いながらも嬉しそうに宣言する。
そんなルナを余所に、俺はイーゼルにある事を尋ねる。
「貴族って事は教会関係者も来るって事だよな?」
「そうだね。枢機卿は公爵家の中から選ばれるから、教会関係者も来るけど。それがどうしたの?」
俺とイーゼルの周りに防諜魔法を張りながら、俺は王都の教会に行った時の事を思い出す。
「この前教会に行ったんだが、そこで妙な違和感を感じてさ」
「教会か、確かに分かるかもしれない。能力は信仰だったよね。・・・ってまさか!」
「そう言う事だ。恐らく貴族や商家は勿論、王都の平民はほぼ全員がその能力の支配下にある」
「成程ね、じゃあ僕が考えた貴族を取り込む作戦は水泡に帰した訳か、うーん」
「それより、これに関する事を俺の防諜魔法の外で吹聴しなかったか?」
「吹聴って・・・そこまではしないよ。でも他の五英傑には多少」
「何を話した?」
イーゼルは話した二つの内容の事を思い出し、その内一つだけをゼロに話した。
「僕がクーデターを起こそうとしている、と言ったぐらいだけど・・・」
「お前の側近、グラハム=アスタリスク。どんな能力を持っていると思う?」
「え?諜報部隊に入っているぐらいだから・・・!?隠密」
「やっぱりそう言う感じの能力だよな。イーゼル、くれぐれも話す時は慎重にな。どこから漏れているか分からん」
イーゼルは冷や汗をかく。
もし、自分が他の五英傑に話した二つ目の内容が漏れているとしたら。
イーゼルの脳内で様々な思考が渦を巻く。
結局イーゼルはこの話が漏れていない事を願うしかなかった。
一方ルナは・・・
「ゼロくんと舞踏会・・・えへへ(*´∀`)♪」
妄想の渦を巻いていた。
~???side~
魔導祭決勝直後、観覧席からゼロを眺める黒衣の男がいた。
「まさかここまでとは。いや、まだ彼は本気を出していないようにも見えるな。彼も候補に加えておこう・・・」
そう言うと黒衣の男は微笑しながら闘技場を去っていった。
次回は舞踏会です。王家の思惑とは?