第38話 神は魔導祭で蹂躙する(神炎)
ゼロが苦戦する理由は決勝戦で明らかにします。
無間地獄。
他の地獄とは比べものにならない程の威力を有している。
これが八大地獄の真髄、1000倍の猛火が刹那の如く二人を襲う。
この直撃を受けたら、たとえ五英傑だろうと簡単に吹き飛ぶ。
しかし直撃の寸前、アルフレッドはイーゼルを押し退け前に出る。
そして、イーゼルを庇う形でアルフレッドに直撃した。
しかしその衝撃は凄まじく、アルフレッドがイーゼルに激突し、墜落する。
「アルフ、大丈夫か!?」
「・・・すまない、イーゼル・・・後は・・・頼んだよ・・・」
「アルフ!!」
アルフレッドは気絶してしまった。
しかし、イーゼルを絶対死守した事によって、俺達の勝ちは見えた。
「アルフ、君の犠牲は無駄ではない。そうだろ?ゼロ!!」
「当然だ!俺がこの隙を見逃す訳がないだろう!」
そして俺は準備していた魔法を発動する。
それはガルシアが無間地獄を撃った瞬間から準備していた魔法だ。
ガルシアはイーゼルを確実に仕留める為に、視線はイーゼルの方に向けていた。
その死角で俺は魔法を準備していたのだ。
ガルシアの目論見が外れ、こちらに視線を戻した今、それがガルシアの最後だ。
地獄の炎は全てを無に帰す。
それは火魔法、水魔法、雷魔法、土魔法、風魔法、光魔法、闇魔法全てにおいて適用される。
しかし地獄の本質は火魔法だ。
地獄の炎に水、雷、土、風、光、闇が効かないのなら、それを上回る火魔法で仕留めればいい。
火は火をもってのみ打破できるのだ。
「『核融合』!!」
地獄の炎は一般的には約7000℃と言われている。
だが、核融合反応の温度は約1億2000万℃だ。
太陽の温度をも超えるこの熱に、ガルシアの地獄は耐えられるか?
「な、なんだこの熱は?!こ、こんな、地獄よりも、遥かに・・・」
俺の魔法が着弾し、ガルシアは場外に吹き飛ぶ。
「勝者、1年Aクラスッ!」
大きな歓声と共に試合終了の笛が鳴り響く。
こうして俺達は決勝に駒を進める事になった。
「流石だね、ゼロ・・・今回はよく勝てたと思っているよ・・・」
「そんな事より、アルフレッドは?」
「気絶しただけだが、アレをモロに受けたんだ。決勝は棄権するしかない」
試合終了後、回復魔法を掛けたが、あれだけの衝撃を受けた為、まだ眠っている。
「そうか、それじゃあ決勝は・・・」
「ああ、3年Aクラスに二人で挑むしかない」
3年Aクラスは無傷で決勝まで勝ち上がっている。
恐らく、ガルシアよりも強いだろう。
全ての鍵を握るのはイーゼルだ。
イーゼルがどこまでやり合えるかによって、俺の行動が変わるからな。
「取り敢えず、イーゼルには回復魔法を掛けておくよ」
「ああ、有り難う」
俺はイーゼルに回復魔法を掛ける。
さあ、次は決勝だ。
我が神の力にて、力に溺れる者を・・・
蹂躙してやろう。
神代では核融合は普通にあります。現代日本と同じように。
一番分かりやすい言い方は、この物語の現代は現実世界で第三次世界大戦が起こった後みたいな。核戦争後の技術は荒廃するってアインシュタインが言ってた。