第32話 神は魔導祭で蹂躙する(瞬殺)
今回は三人称視点スタートです。
ゼロ視点だけだとちょっと無理があったので。
天の声「三人称視点担当や、粛清しないで(懇願)」
ソ連 「デェェェェェェン」
天の声「!!(゜ロ゜ノ)ノ」
一回戦第一試合
1A vs. 2C
両代表は闘技場の舞台に上がる。
流石五英傑だけあって、大きな歓声で迎えられる。
一方相手にもそれなりの歓声が響く。
両者は規定の位置に立ち、遠くから向かい合う。
「これより、魔導祭一回戦第一試合を始めるッ!審判は王国軍第一軍隊第九魔法師団団長補佐、ロイド=バスミシンが務めさせて頂くッ!」
審判がそう言うと、出場者を紹介し始めた。
「先ずは東手、1年Aクラス。ゼロ=グランディオ、アルフレッド=レーゼンバーグ、イーゼルグランツ殿下ッ!」
五英傑への歓声と共に平民であるゼロへの罵声が場内に響く。
それも当然、貴族の最高峰である五英傑の中に差別すべき平民が混じっているからだ。
「ほう、平民かね。イーゼルも堕ちたかねぇ?」
見物に来ていた国王カイロスがそう呟く。
栄誉ある王族の隣にただの平民がいるのが気に食わないのだろうか、顔を顰めている。
「次いで西手、2年Cクラス。・・・・・・」
2年Cクラスの7人の紹介が入る。
こちらは全員貴族で固められていて、前衛4人、後衛3人の陣形を組んでいる。
「両者準備は良いな?それでは始めッ!」
審判が始めの合図の笛を鳴らすと同時に両者が動く。
が、時を少し遡ろう。
~2年Cクラスside~
2年Cクラスの初戦の相手は五英傑がいる1年Aクラス。
はっきり言ってこの戦いは絶望でしかない。
しかしここで吉報が入る。
なんと代表の一人は平民だと言うのだ。
ゼロが規格外すぎて忘れていたが、本来平民は能力を持たない。
能力のない状態で魔法を放っても大した威力にはならない。
2年Cクラスの作戦は決まったようだ。
2年Cクラスのリーダー格(即ちこの人が大将になる訳だが)はクラスの代表にある作戦を告げる。
それは平民を速攻で倒し、後はそれぞれが散らばり時間を稼ぐ。
つまり人数差での勝利を掴むという作戦だ。
一時間という長い時間だが、弱い平民を初手に退場させれば、相手は残り2人。
こちらとしては最悪4人までの犠牲で押さえれば勝てるのだ。
他のメンバーもその作戦に納得した。
しかし、その作戦には一つ大きな穴があった。
それは勿論、ゼロはただの平民ではない事だ。
~1年Aクラスside~
当日話合った作戦はこうだ。
相手は必ず弱いと考えているゼロを狙ってくる。
そこでゼロが敢えて前線に走り出し、相手の注意を引き付ける。
そして相手の注意がゼロ一点に向いた瞬間、イーゼルとアルフレッドが後ろから、広範囲魔法を放つ。
その放った魔法をゼロが一つに圧縮し、相手にぶつける。
当然相手は後ろ二人からの攻撃も警戒する筈で、直ぐに防御結界が張れるようにしておくだろう。
しかしゼロが圧縮する事によって防御結界としての意味を持たなくなる。
つまり簡潔に言うと、初見殺しによるゴリ押しである。
その光景がこちら。
~ゼロside~
「それでは始めッ!」
審判の笛が鳴ると同時に俺は前へ駆け出す。
当然相手は一瞬困惑するが、これをチャンスだと踏んで、前衛4人が攻撃魔法を発動させようとする。
その瞬間、俺は後ろの二人に指で合図を出す。
それを確認したであろう二人は相手の魔法が発動される前に広範囲魔法を高速で放つ。
「『大地讃頌』」
「『紅炎の灯』」
二人は相手の魔法が発動する前に魔法を放つ。
普通は広範囲魔法など、この現代では発動に時間が掛かる魔法だ。
しかし、俺はあるギミックを仕込んである。
『即速』
あらゆる魔法の発動時間を短縮する上級光魔法だ。
因みに俺の場合は発動時間は元々無いようなものなので意味はないが。
それは兎も角、急な魔法発動によって相手も混乱している。
事態に気付いた後衛の3人が即時に防御結界を張る。
だがしかし、二人の魔法が俺の横を通り過ぎる瞬間、ある魔法を発動させる。
『圧縮』
その名の通り魔法を圧縮する魔法だ。
俺はこの魔法で二つの魔法を圧縮し、合成する。
「『熔岩砲』」
大地の魔法と炎の魔法が合わさり、凄まじい威力になる。
当然相手はこれを防ごうとするが、防御結界は一瞬で破壊される。
そして巨大な爆発ともに、相手の全員の戦闘不能を確認、俺達は勝利した。
始まってから終わるまで、僅か6秒であった。
これから試合はこんな感じに進みます。