第30話 神は王国の情勢を知る
国王初登場回
グランセル=グランド城、王座の間。
そこにはこの国、グランツ王国国王カイロス=グランツが鎮座していた。
「待っていたぞ、エルイト」
「陛下、公式の場ではちゃんとウィンドーラ宰相とお呼び下さい」
王座の間にやって来たのは王国宰相エルイト=ウィンドーラ。
国王カイロス=グランツの幼馴染で、王国のナンバー2だ。
「はっはっはっ、そう堅い事言うな。余とお前の仲じゃないか」
「はぁ、それで陛下、何故お呼びになったのですか?」
「そうだ、今年の魔導祭の準備は順調かね?」
「はい、着々と進んでいます。そう言えば、今年は陛下もご見物になられるのでしたね」
「ああ、そうだ。今年はイリスとイーゼルが出場するらしいからな」
「第ニ王女と第一王子ですか、それは楽しみですね」
「ああ、非常に楽しみだ。それでもう一つ、例の件は?」
「そちらも順調です。ですが、本当に宜しいのですか?」
「何を心配しているのだ。これは王国の悲願だ」
「それなら宜しいのですが。そう言えば気になる事が」
「何だ、言ってみろ」
「第一王子イーゼル殿下の事なのですが、第三軍隊アスタリスク中尉からの報告で、途中で監視が途切れる時間があると」
「監視が途切れるだと?」
「はい、何でも放課後だとか」
「放課後か、それなら心配はいらない。イーゼルは統一魔法クラブに入っておってな、その活動によるものだろう。この前イーゼルがそう言っておったわ」
「そう、でしたか。それでは引き続き問題なく継続させます」
そう言うと、ウィンドーラ宰相は王座の間を後にした。
一方その頃統一魔法クラブにて
「何で僕監視されているんだろう?もしかしてこの事バレた?」
イーゼルはそう嘆いた。
「バレてたら自由に行動させないだろ、多分親なりに心配してるんだろ」
「父上が?それはないだろ(笑)」
仮にも国王だぞ。
何だその反応は。
「まぁ国王が何を考えているのかは分からんが、そっちの算段は立ったのか?」
「ああ、こっちが調べた情報によると、王都以外の貴族はあまり王国に良い印象を受けていなかった。まぁ隣国と一触即発状態で迷惑を被るのは辺境の貴族ぐらいだしね」
確かに軍隊は駐留するは、衝突したら領民が死ぬはでメリットないしな。
「成る程、そいつらの協力があれば転覆出来なくはないと」
「そう簡単には行かないけどね。ああいう人達は絶対に自分が有利な状況じゃないと動かないから」
「だろうな。だが王国に不利な情報なんてそう無いぞ」
「だからそれを探って貰おうかなと。でも、王城内で使える魔法は限られている。結界で使える魔法が指定されているから」
「は?お前その情報早く出せよ!指定されているなら隠蔽魔法つかえねーじゃねえか」
「そこは、ね。頑張って」
「おい(怒)」
「話を戻すと、王国の情報は国立図書館の地下、禁書保管室にある。が、そもそも誰も入らせるつもりがないから、罠がえげつない。でもこれ以上の情報は無かったよ」
「つまり俺がそこに行き、王国を転覆させる程の情報を掴んで来いと」
「ああ、年に一回、その罠の点検がある。全ての罠じゃないが、その時が一番警備が薄い」
「それはいつだ?」
「建国祭の前だから、7月だね。また詳細は追って説明する。あまり防諜魔法の中にいると怖いからね」
イーゼルは足早に部屋を出ていった。
建国祭、その名の通りグランツ王国の建国を祝う祭りだ。
魔導祭、剣魔祭と並んで王国三大祭りと言われている祭りだな。
まぁその時までは動けないって事かな?
如何せん情報がないから、全然分からん。
「ねえライトくん、話ついていけた?」
「ああ、無理」
「これ私達関わって良かったのかな?」
「それは僕も同感だよ」
ルナとライトがそう話している。
まぁ当然の反応だが。
「ルナとライトは今の国王の治世についてどう思う?」
「まぁ余り良くないかな。悪く言って戦争狂?」
酷い言われようだな。
「ルナのそれは言い過ぎだよ。でも国王陛下が戦争を望んでいることは確かだよ。そもそも今の平民差別が酷くなったのって今の国王になってからだし」
「そうだよ!他の平民はどうでも良いけど、ゼロくんを差別するなんて酷いよ!」
そう言うと、ルナは俺の頭を撫でてきた。
おい、やめろ。
年下で身長が低いのは分かるが撫でるな。
ライト止めろよ、何だその目は。
結局この後暫くルナに撫でられるのであった。
助けて(/≧◇≦\)
ルナが積極的になってきた。
ゼロはルナの気持ちに気付くのか?
いや、気付かないだろう(反語)