第28話 神は決闘を受ける(後編)
そういやゼロはまだ10歳でした。
口調が10歳じゃない(笑)
全員は一度俺から距離を取る。
その間に俺は付与暗黒を解除し、別の魔法を付与する。
『鉄剣クロガネ:付与閃光』
さて、相手はどう動く?
「どうする、イーゼル?こっちは押されっぱなしだぞ!」
「・・・五人同時に行く。先ずはそれぞれが乱雑に動いて、タイミングを合わせて同時に攻撃する」
「「「「了解!」」」」
その掛け声と同時に五人はそれぞれが等間隔になるように移動する。
そしてイーゼルの合図と共にそれぞれがそれぞれのタイミングで攻撃を行う。
「うぉぉぉぉ!『風神流奥義・永久暴風』!」
カイザーの剣戟によって複数の風の膜が出来上がる。
その膜が重なり合い、巨大な竜巻を生んでいる。
少し地面も抉られているな。
「これだけじゃないさ!『暴風雨』!」
レオンが水魔法を放つ。
すると、竜巻と水が合わさり、結界内が暴風雨によって視界が悪くなる。
「行け!ギオン!」
「ああ!『雷撃の抵抗』!!」
オーレギオンの放った魔法によって、結界内はまさにゲリラ豪雨のようになっている。
そして無数に放たれた雷撃は俺に向かっていく。
だが、俺はそれを躱しながら、剣を薙ぐ。
すると一瞬で雨、風、雷が消え、視界が戻ってくる。
だが、視界が戻ってくる時、それがイーゼルが見出だした俺の隙だった。
「今だ!総攻撃だ!」
イーゼルがその声を放つと、五方向から剣戟が飛んでくる。
成る程、イーゼルも考えたな。
確かに急に視界が開けると、人間は一瞬状況把握能力が落ちる。
全てを認識する前に五人で同時に攻撃すれば、その内のどれかが対応出来なくなる。
そう読んだのだろう。
だが残念だったな。
俺は人間じゃないんでね。
「貰ったぁぁぁぁ!!」
五人の剣戟が俺に届く寸前、俺はある魔法を発動した。
それは・・・
『全反射』
あらゆる攻撃をも全反射の要領で全てを跳ね返す超級魔法。
五人の剣戟は見事に弾かれ、皆目を見開いている。
防がれる事も想定しておかないと駄目だろ。
全く、それに俺が結界の四隅に仕掛けた魔法にも気付けないとは。
『閃光弾』
背後から広範囲に広がる弾幕に対応出来ず、五人とも被弾する。
そしてアルフレッド、レオン、カイザー、オーレギオンが気絶し、イーゼルはそれを見て降伏するのだった。
決闘が終了し、結界を解いた俺は五人に回復魔法を掛ける。
『超回復』
「全く、僕らの負け、完敗だよ」
「まさか俺ら五人でも手も足も出ないとはな」
イーゼルとカイザーは嘆く。
レオンとオーレギオンは黙って俯いている。
「そう言えばさっきのアレ、何だったんだ?僕ら五人の攻撃を跳ね返した」
アルフレッドがそう尋ねて来た。
「全反射、あらゆる攻撃を跳ね返す魔法だ。だが、全反射を利用しているから攻撃の角度を見極めないと全反射にはならないけどな」
「はっ、無敵かよ。その角度さえ見極めれば絶対に攻撃なんて入らないじゃないか・・・」
「それはそうと、五人とも俺が結界の四隅に仕掛けた魔法に気付かなかったじゃないか」
「そうだ!アレ一体いつ仕掛けたんだ!普通は仕掛けたら魔力の流れで分かるだろうが」
オーレギオンが急に口を開く。
「俺が剣に付与してる時だな。付与してる最中なら、仕掛けても気付かれない。何せ魔力は剣に行っているからな」
「じゃあ何で仕掛けられたんだ?」
「・・・時限魔法って知ってるか?この魔法は色々汎用性が高いが、今回は魔法だけ配置して時間が経ったら魔力が送り込まれるって仕組みだったんだが・・・どうした?五人とも固まって」
「「「「「時限魔法だと!?!?」」」」」
あっ(察し)
これも消失魔法でしたか、そうですか。
・・・消失魔法多すぎだろ。
「・・・君は一体幾つの消失魔法を使えるんだ?」
「どれが消失魔法かなんて俺は知らん。だが、大抵の魔法は使える」
「もう僕らの認識が通用しないな。ただの平民では無いことは分かっていたが、最早人間かどうかも怪しくなってきたぞ」
「まぁ、人間だよ」
この体のみだけどな。
闘いは終わる