第27話 神は決闘を受ける(前編)
やっぱり戦闘は楽しいなぁ←戦闘狂
「五英傑全員でかかってこい」
俺がそう言うと、周りがざわめく。
「僕ら全員で?いくら君でもそれは無茶だ」
「構わん。その方が分かりやすい」
「・・・君達はそれでいいか?」
「当たり前だ!こんな挑発、乗らない訳ねぇだろ!」
「ああ、ここまで言われて引き下がれるか!」
「ここは私達の力を見せてやりましょう。身の程を弁えさせて見せよう」
「そうだな、同じ代表として仲間の力を知っておきたいからな」
「総員一致か、まぁ分かっていたけど。それじゃあ始めようか」
「その前に結界を張っておこう。どれだけ被害が出るか分からん」
俺は結界を発動する。
『完全防御結界』
「これで良いかな?」
「全く、本当に君は規格外だな。結界を発動させたまま戦うとは。今回は僕も本気で行かせてもらうよ」
「ああ、イーゼル。全力で来い」
そして五対一という異例の決闘が始まった。
「先手必勝!『風神烈風』!!」
カイザーが魔法を発動させる。
巨大且つ圧縮された風が俺を襲う。
だが、この程度では俺にとっては戦風に過ぎない。
俺は手を前に出して、魔法を受け止める。
「は?素手で受け止めただと?」
「その程度の魔法、素手で十分だ」
「アルフ、レオン、カイザー、ギオン、単独じゃ駄目だ。剣に付与魔法を掛けて、連携して行くぞ!『地王剣カタストロフ:付与大地』」
「分かったイーゼル!『炎剣インフェルノ:付与火炎』」
「イーゼルがそう言うなら私も追随しましょう!『水竜剣アクア:付与大海』」
「くっ、そうだな。単独で勝てる気がしない!『烈風剣サイクロン:付与暴風』」
「だぁー!くそ、しゃあねぇ。やってやるか!『雷神剣ライトニング:付与万雷』」
五英傑全員が剣に付与魔法を掛け、それぞれの方向から間合を詰めていく。
「同時攻勢か、悪くない。だが・・・」
『鉄剣クロガネ:付与強化』
『鉄剣クロガネ:付与闇黒』
俺はクロガネに付与魔法を掛け、そして結界内の四隅にある魔法を張っておく。
「喰らえぇぇぇ!」
まず始めに斬りかかって来たのはオーレギオンだ。
剣に纏った雷撃が、剣を振るうと同時に俺を襲う。
だが、俺はそれをあっさりと避け、オーレギオンの腹に蹴りを入れる。
「グハッ・・・」
オーレギオンが引き下がると同時にアルフレッドとカイザーが攻撃を仕掛ける。
カイザーが俺に向かって剣を突き刺すと、剣先から高密度の竜巻が横向きに発生する。
その竜巻にアルフレッドが剣を振るう。
すると竜巻に炎が交じり、炎が風と共に俺に襲いかかる。
「「『火炎旋風』」」
二人がそう叫ぶと、炎と風の威力が上がる。
矢張り詠唱すると威力が上がるようだ。
『攻撃相殺』
俺は剣を薙ぎ、二人の攻撃を相殺する。
二人は驚いた様子で俺から距離を取る。
今度はレオンとイーゼルが不規則な動きで剣戟する。
常人だったらこの動きを読む事は不可能だな。
だが、俺は常人ではない。
俺は敢えてイーゼルと接近し、至近距離でイーゼルの剣戟を避ける。
「『天河暗黒』」
俺はイーゼルの背後を取り、剣を振るう。
それと同時に闇魔法を発動させる。
河のように流れ出す闇がイーゼルとレオンを押し流し、結界に叩きつける。
この時点で勝敗は明らかだった。
たとえ五英傑でも神の前では無に等しい。