第21話 神は属性を測る
絶対神に人間の力は通用しない
俺がオーレギオンを倒した直後、シュテーゲン先生が近づいてきた。
「おい平民!これはどういう事だ?」
「どういう事って見た通りですが?俺がコイツを倒した。ただそれだけだろう?」
「貴様、その剣でどうやって?まさか魔法を使ったんじゃないだろうな?」
「はっ、使うまでもない。剣の刃がボロいから柄で殴っただけだ」
因みに剣は錆びているように偽装してある。
流石に錆を直すと目に見えて分かるからな。
と、オーレギオンが目を覚ましたようだな。
「ぐっ、痛てーな」
「やぁギオン。大丈夫か?派手にやられたな」
「イーゼルか。くそっ、何なんだアイツ。俺の剣が全く通用しなかったぞ」
「まぁ彼は規格外みたいなものだから。シュテーゲン先生、彼は純粋な剣技でギオンを倒した。それに何か問題ありますか?」
「イーゼル王子殿下!・・・いえ、何も問題ありません」
「じゃあ授業を進めてください。ゼロも多少は手加減してよ」
「あー分かってる。これでも大分手加減したつもりなんだが」
「チッ、なぁイーゼル。アイツは何者だ?ただの平民じゃねーぞ」
「そうだね。ただの平民じゃないから」
イーゼルはオーレギオンに手を伸ばし、オーレギオンは手を掴み立ち上がった。
この試合を見ていたクラスメイトは五英傑の一人が平民に敗れた事とイーゼルの発言によって、俺への態度が明らかに変わる事になる。
そしてそれは次の場面で決定的となるのだった。
「次の時間から本格的に剣技魔法の授業を行う。それに伴いお前らには魔力の属性を測ってもらう。これによってやる内容が変わる。そしてこの結果は基本魔法教練でも必要になるからな」
そう言うと先生の水晶玉を取り出した。
魔力属性とは火、水、雷、風、土の基本五属性の他、光、闇、無属性がある。
火の属性を持つ人が水晶玉に触れると、水晶玉は赤く光る。
それと同様に、水は青、雷は黄、風は緑、土は茶、光は白、闇は紫に光る。
無属性は基本誰でも持っている事が多いので光らない。
そしてこれが俺が驚愕した事だが、属性は少ない方が優れているらしい。
普通逆だと思うんだけど。
複数の属性を持っているとその属性は中途半端だと言われる。
逆に一つの属性だけだとその属性に特化していると言われる。
確かに中途半端な属性を複数持つのと、洗練された一つの属性を持つのを比べると当然後者の方が優れている。
が、その考えに執着している所為か複数属性は余り良いものではないらしい。
ここでも時代の弊害があるとはな。
俺が測る時、どんな反応されるんだろうな。
次々と名前を呼ばれ属性を測っていく。
ここで他の人の属性を紹介しておこう。
アルフレッドは火、レオンは水、オーレギオンは雷、カイザーは風、イーゼルは土。
まぁ能力がそれだし、一属性は当然だろう。
ルナは雷と光、ライトは火と土と光。
二人とも複数属性だ。
先生からは余り良い印象を受けていない。
というかクラスの殆どは複数属性なんだが。
複数属性の場合、持っている属性が少ない方が優れていると言われるらしいが、普通は色んな属性の魔法を使える方が強いと思うんだけどなぁ。
因みに最大は四属性の複数属性でした。
と、俺が呼ばれた。
俺は水晶玉に手を触れる。
水晶玉は赤、青、黄、緑、茶、白、紫の七色に光る。
そう、俺は全属性保持者なのだ。
「は?なんだこの色?何色光っているんだ?」
「七色ですよ、七色」
「七色って全部じゃないか!まさかお前は全属性保持者なのか?」
「あれ?複数属性を持っている方が劣っているんじゃなかったっけ?」
「全属性保持者は例外だ。まだ誰一人として存在していない!」
この先生の驚き方を見ると全属性保持者は本当に例外なんだな。
ふと後ろを振り向くとクラスの全員が固まっている。
どうしたの皆?
「まさか君が全属性保持者だったとは。君の強さにも納得出来るよ」
イーゼルがそう言うとクラスの全員が頷く。
え?そんなに凄いか?
たかだか全ての属性を持っているだけだろ。
授業が終わった後、五英傑とルナ、ライトを除く全員から質問攻めに逢ったが割愛しよう。
絶対神なので全属性を持っています。当たり前だよなぁ