第17話 神は選ばれる
やっと三日目
イーゼルが俺に依頼してから翌日、俺は特に変わりなく学校に来ていた。
ルナやライトもいつもと変わらない様子だったので安心した。
俺の統一魔法クラブが諜報機関になったのは想定外だったが、それに関してはまた放課後話し合うとしよう。
SHRが終わり、今日の一時間目はLHRだ。
何をやるかは知らんが。
「今日のLHRは五月に行われる魔導祭についてだ!魔導祭では各クラスの代表が他のクラスと魔法で闘う祭だ!代表はDクラスは10人、Cクラスは7人、Bクラスは5人、そして我々Aクラスは3人だ!あと今回の魔導祭は国の重鎮や軍の上層部も見学に来る!代表に選ばれなくても裏で行われる裏☆魔導祭で上位の成績を残せば何かコンタクトがあるかもしれん!皆頑張るように!私はこれから魔導祭についての会議があるから、一時間クラス内で話合って代表を決めてくれ!」
魔導祭。
三学年四クラスの代表が魔法技術でトーナメントを勝ち抜く闘い。
この祭は冒険者として活動している二年生も学校に戻ってくる。
そして毎年多くの観客が集まり、王国の三大イベントの一つである・・・
俺は先生から渡されたパンフレットを見ていた。
裏☆魔導祭についての説明が無いんだけど、一体何をするんだ?
まぁ俺的にはどうでもいいんだけどな。
俺は前世の時からそうだが祭り事は好まん。
小規模なら別にいいが、王国の三大イベントとも言われる祭だ。
あまり喧騒なのは鬱陶しい。
それに俺は国家を諜報する者、所謂スパイみたいなものだ。
目立つのもあまり宜しくない。
それに代表は3人だけだ。
この学校はAクラスが最も優秀でDクラスが最も劣等である。
力の差を埋める為、人数が縛られているが、量と質では質が勝る。
更にこのクラスには五英傑がいる。
態々俺が出る必要はないだろう。
そんな事を考えていると五英傑の一人、火炎のアルフレッドが声を発した。
「代表決めの話だけど、ここは公平に選挙にしないか?僕がクラス全員の名前を言うから、皆は顔を伏せて代表になってほしい人の名前が呼ばれたら挙手をする。当然一人一票で自身は除いてね。あとは上級探知魔法の応用で集計する。これでどうかな?」
クラスの皆は異議なしの表情を浮かべている。
勿論俺も異議はない。
寧ろ議論が無い分非常に効率がいい。
「異論は無いね?それじゃあ顔を伏せて始めるよ」
一人ずつ名前が呼ばれている。
俺はそうだな、イーゼルにでも入れておくか。
それにしても貴族の割にはやけに民主主義的なやり方をするんだな。
俺はてっきり五英傑の独断決まるとばかり思っていたが。
まぁクラス40名のうち貴族と商家が半々だから商家に配慮したのかな?
「顔を上げていいよ。結果は前の黒板に写し出される筈だから」
その声を聞いて俺は顔を上げる。
結果は以下の通り。
イーゼル 14票
アルフレッド 10票
ゼロ 9票
レオン 3票
カイザー 2票
オーレギオン 2票
・・・何で俺に9票も入ってるんですかね。
貴族が平民である俺に入れるとは思えないし。
「おいちょっと待て!何で平民如きに票が入ってんだ!?」
五英傑の一人、万雷のオーレギオンが声を荒らげる。
まぁ無理もない。
平民である俺が貴族である五英傑三人を上回っているのだから。
「そうだ!何故私ではなく平民を選んだんだ?」
「納得いかねーぞアルフレッド!まさか不正してるんじゃないだろうな?」
大海のレオンと暴風のカイザーも抗議する。
何お前ら、そんなに代表になりたかったのか?
「君達も知っているだろう?そもそも魔法に不正はあり得ない。そんな事をしても魔力の流れで簡単に分かる事だろう?まぁこの結果には僕も驚いたけど。でも、流石に我々貴族が平民に投票するとは考えにくい。とすると投票したのは君達商家って事になるよね?」
貴族(クラスの半分)が商家の方を睨む。
俺に投票したであろう商家は貴族の目に怯えている。
ルナとライトを除いては。
「別に誰に投票したって自由でしょ?態々公平になるようにしたんだから睨まれる筋合いは無いよ!」
「そうだね。そもそも君達はゼロに勝負して勝てるの?僕は絶対に勝てないね。だから選んだ。身分の高い者が為政者になるように、強者が代表になるのは至極当然な事。君達がやってきた事じゃないか?」
ルナとライトが反論する。
それにつられて他に貴族に不満を持っていた商家が一斉に立ち上がる。
暫く沈黙が続き、抗議していたオーレギオン、レオン、カイザーは不服そうに席についた。
完全に俺の為に争わないで状態だったが、実際このタイミングで貴族と商家の諍いが起こっても良かったのか?
まぁ良くはないだろうが、そもそもこの国の政治体制的に対立不可避だし、しゃーない。
「それじゃあ代表は僕、イーゼル、ゼロで良いかな?」
沈黙は肯定だと取ったアルフレッドは黒板の文字を消した。
これによって不本意ながら俺が代表に選ばれてしまった。
ナンデヤ
「そういやイーゼル、お前は何か言う事無かったのかよ。俺が代表になったら目立って諜報どころじゃないだろ」
「あ、君はそういう考えだったのね。僕的には派手に目立って君を国家に組み込もうかなと思ってたんだけど。因みに君に投票した一人は僕だから」
お前俺に入れたのかよ!
ったく勝手に人を国家に組み込もうとするなよ。
そういえばこいつ王子だから強権行使できるじゃん!
えー
・・・仕方ない。
選ばれたからには、
''完膚なきまでに叩き潰してやろう''
貴族と商家の対立は避けられない。フランスみたい