第12話 神は神と対峙する
不死の遺跡なんで全24階層です。あたりまえだよなぁ
不死の遺跡第24階層、ここのダンジョンは23階層と聞かされていたが、隠し通路を発見し、階段を下るとMPSは24を示していた。
第24階層は今まで誰も入ったことのないかのような静けさと薄暗さ、そして空洞音が鳴っていた。
「やっぱり隠されていただけあって殆ど手の入りがないな」
''殆ど''、完全ではなく殆どだ。
ちらほらと削ったような痕跡があるが、おそらく何百年も前のだろう。
暫く歩いていると23階層とは比べ物にならないくらい広い空洞があった。
「・・・奥に通路が見えるし、コイツは中ボスってとこか?」
「誰ガ中ボスダ!ココニ我ヨリ強イ奴等居ランワ!!」
「え?てことはこのダンジョンのボスがお前か」
「貴様、我ヲ誰ト心得ル!我ハ不死神!コノ遺跡ニ住マウ者ダ!」
「あ?不死神?・・・不死神リ=ヴァイヴか!」
「ナント我ノ名ヲ知ッテオルノカ!ダガドウデモヨイ、我ノ領域ニ踏ミ入ッタ者ハ何人タリトモ排除スル!!」
「まぁ待てよ不死神。少し話でも・・・」
「スル話等無イ、斃レ!『死喪幻葬』!」
不死神の放った魔法、それは触れた者の魂を永久に縛り、決して成仏することなく、現世を彷徨い続ける。
効けば敵を一瞬で沈め、所謂即死レベルの魔法だ。
しかし、効かなければどうと言うことはない。
俺はその場を一歩も動くことなく魔法を受ける。
当然俺にそんな低級の魔法が効くはずもない。
「バ、バカナ・・・我ノ死喪幻葬ガ!貴様、一体何ヲシタ!」
「何もしてないぞ。ただお前の魔法が俺に効かなかっただけのこと。俺を倒したいんなら純粋な攻撃魔法か物理攻撃じゃないと」
「効カナイダト・・・ソンナ事ガ・・・アッテタマルカ!!」
不死神が乱雑に魔法の弾幕を張る。
普通の人間だったら避け切れないだろうな。
だが・・・
『弾幕終焉』
目の前に張られた魔法の弾幕は一瞬にして消えた。
「ナ、ナ、何ダト」
「さっきいい忘れたが、別に純粋な攻撃魔法や物理攻撃を使えば俺を倒せるとは言ってないぞ」
「グ・・・貴様、一体何者ダ!」
「何者、か。そうだなぁ、お前を遥かに超える者?」
「巫山戯ルナァァァァ!!!」
「はい、怒りに任せて攻撃しない!お前の悪いところだぞ!」
俺は不死神が放った魔法を全て避け、ある魔法を放った。
『超臨界絶対零度』
氷結魔法の頂点、絶対零度は放った方向のみ-273.15℃まで急速に冷やす魔法。
だがこの魔法はその-273.15℃を更に下回る。
存在しない温度は存在しない法則を持つ。
故に不死神の足元に放ったこの魔法は被弾と同時に半径10mを一瞬で凍らす。
それは不死には無縁の死を悟らせる程の凍結力。
足元に放った為、効果範囲は下半身のみだが、直接食らえば心臓ごと凍りつき、不死者に死が訪れるだろう。
そしてこの時、不死神は気付くだろう。
一切の機能を停止させ、神をも屠るこの''超級魔法''は''絶対神リュート=グロース''にしか扱えないという事を・・・
「ゼ、絶対神・・・様?」
「おう!久しぶりだな不死神」
「コ、コレハ・・・絶対神様トハ知ラズ何タル無礼ヲ・・・」
「気にするな。あと下半身の氷消すわ」
『魔法消失』
「有難ウゴザイマス。マサカコノヨウナ場所デ絶対神様ニオ会イ出来ルトハ」
「お前は何でこんな所に居たんだ?」
「我ハココニ住ンデオリマス。入口ニハ鍵ノ代ワリニト結界ヲ張ッテアッタノデスガ」
「あ?あれ結界だったん?すまん、俺がぶっ壊したわ」
「ソ、ソウデシタカ。絶対神様ナラ別ニ構イマセンガ、絶対神様ハ何故コチラニ?」
「表向きはダンジョン攻略に来た学生、裏向きはお前に会いに来たってとこかな」
「エ?我ガ居ル事ヲゴ存ジダッタノデスカ?」
「不死の遺跡って言われていたからな。確信は無かったが居たらいいなって。それで色々聞きたい事があるけどいいか?」
「ハイ、構イマセン」
こうして不死神リ=ヴァイヴと再会した俺は、俺の転生後について質問を始めた。
ゼロは神は神でも絶対神です