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第5話、買い物

時は過ぎて、夏になった。


「姫、帰ろう」


部活動を終えた藍は音楽室に来ていた。この頃藍と一緒に帰ることが多くなっていた。


「もぉ車が楽だからって頼りすぎだよ」


「いいじゃん、私がいたほうが楽しいでしょ」


「まぁそうだけどさ、こんな遅くまで残って、いけない子ね」


「姫がそうさせたんじゃないかな」

私たちは軽くふざけあうと、こっそりと手を繋いで、音楽室を出た。先生としても他の先生に見つかってはならないためにわざわざ遅くまで残っていた。

それに付き合ってくれる藍、私は嬉しかった。放課後の寂しさを藍のおかげで忘れることができた。


だからこそ一緒にいれる時間は少しでも長いほうがいい。私は藍を誘って服屋へと来た。


「さて、藍に似合う服を選んでもらおうかな」


「まぁいいけどさ、姫って背が低いし、髪が長いから可愛いのにあって羨ましいな」


「そっか、藍は短いの似合ってるじゃん」


「でもやっぱし憧れはあるよ?あ、姫これとかどう?」


そう言って、デニムのスカートとタイツ、グレーのタートルネックを渡してきた。

私は早速着替えた。自分で見ても何か少し地味って感じがする。

私はカーテンを開けてどうかなと藍に聞いてた。


「やっぱし姫は似合わないね、もっと明るい色のがいいかな」


「じゃあなんで渡したの?」


「ほらっボディーラインとかすごいくっきりでるから似合うかなっと思って、はい次これね」

私はそう言われて慌ててカーテンを閉めた。さすがに恥ずかしかった。そしてもう一度見てみると、やっぱり出るとこは出てた。

試しに腕を上げてみたりすると、それがよくわかった。自分で見てる分には少し楽しい。

このスカートもひらひらがない割に見えてしまいそうな気がする、けど私の背丈だと少し足りない気がするな。


堪能したあと、藍が渡してくれたもう1つの服に着替える。ピンクのティアードすごい可愛い。フリルがあって膝に当たる感触がひんやり柔らかい。

白のワイシャツに赤のカーディガンも可愛い、下はふんわりで上は明るくて華やかな感じ

私はカーテンを開けた。そして再び藍に訪ねた


「うん、やっぱりこっちのが姫っぽいよね、良く似合ってるよ」


「ありがとう、こんなスカート久々にはいたなぁ」


「あ、これが一番似合うと思う、これ着てみなよ」


「なんか着せ替え楽しんでない?」

そう聞くと藍は楽しそうに答えた。


「だって姫とだからこそ、可愛いからいろいろ着せたくなるのかな」


予想はしてたけど、改めて聞くと嬉しい。今日選んでくれた服は全部買いたくなる。

あの子を後で抱きしめてあげようかな。そして何着も着たあと、私はまた着替えていた。

一緒にいると、自分を見つめるのが不思議と好きになっていく。


「さて、これが一番かな」

私は自信を持ってカーテンを開けた。鮮やかな赤と黒のギンガムチェックのプリーツスカート、そして膝上でニーソを履く

上は、七分丈の赤い肩出しニット、これがすごく似合ってる。肩も魅せれるし、胸も強調できるすごいいい服だ。

それだけあじゃなく袖の先から白くて細い腕が覗かせてる、ブレスレットとかつけるとさらに可愛くなれそうな気がした。


「やっぱこれだよ姫、これにしなよ」


「うんこれだよね、ありがとう藍」

そう言って私は愛を抱き寄せた。いつもより幸せそうに藍は微笑んだ。

藍にもいろんな服を着せたかったが今日は時間がなかったため、私の服だけを購入した。

そしてお店を出て、再び車に乗った。月明かりが照らしてる。気が付けば9時手前だった。


「あぁ時間てほんとすぎるの早いね」


「そうだね」


「藍が高校生じゃなかったらもっと夜まで、いや明日の朝まで連れ回すのになぁ」


「今はダメなの?」


「先生がそんなことしちゃダメだって、だからあと半年、卒業してからだよぉ」


さみしいような、モノ欲しいような目でこちらを見てきた。

まるで今にも連れ出して欲しい見たいな目、でもダメだ。


「そっか、卒業したらもっと一緒にいれるよね?」


「どうだろうね、藍は私のクラスじゃなくなるし、でも夜はその分ねっ!」


「夜って姫に強調されるとなんか不安だなぁ」


「そんな意味じゃないってばもぅ」



私たちはどんな話題でも笑い合える、もう教師と生徒じゃなくてその先へと進みたい、親友よりもその先へ

片手でハンドルを握り、もう片手をそっと藍の膝の上に添えた。

藍は優しく両手で包み込んでくれた。このままずっと遠くまで走りぬけたい。


藍が高校生じゃなかったら、この道が続く限り走り抜けたい。

しかし藍の家はすぐ近くだ。手を握ってもらって気が付けばつく。

近いからこそ身近な距離なのに、この時ばかりはこの近さが悔しい


「今日もありがとう、また明日ね」

そう言って藍はキスをせずに車を降りて行った。この頃、藍はキスをしてくれないのが少し気になっていた。

楽しく毎日、近くにいるくせにどうしたんだろうか、私は少しだけ不安になった。

気持ちは離れてるわけではないはず。藍の言葉を思い出して、私はゆっくりと目を閉じた。



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