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 「……姉さんは、優しい人だった……」


 口を震わせて、青年は、俯いている私よりもずっと、下にうなだれるようにうつむき、深く自らの思考に沈み込むかのような体制をとると、更に、彼の記憶の海へ思考を投げ出したかのようだった。


 青年の声音も次第に自然と空間に溶け込むような更に溶け落ちるような馴染むような音に変わっていく。



 ……わたしは、いつしか、目を閉じながら、青年の静かな声の海へ、わたしも青年の記憶の海のそれを、琴線のひとかきも聴き逃さないというように、慎重に手繰り寄せるように思考を透明にして。


 昔の母の面影を追う。青年の声とともに。



 


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