56.それは、もしかしたら、子供の為の箱庭だったのかもしれなくて
--今思うと、あの頃のわたしは、なんて幸せな空間に守られていたのだろうと、思う。
すべてが、幻影だったのかもしれないのだ……。
……よく考えてみれば、わたしの顔は、父にも、……そして、蝋人形の母の顔にも全く似ていない。
--(……かみさま、ほんとうにそんなものがあるとは思ってはいないけれど……でも、もし、ここに居て、このわたしの現状を目にしているとしたなら、……あなたは、わたしを、笑いますか……?わたしは、もしかしたら、ひどい、……とても、ひどい、勘違いをしていたのかもしれません)
……何故、父は、わたしを幼いころから、女性のようにしつけ、
……何故、母は、自らの部屋に箱庭のようなそこに、自ら軟禁されるような状態で、わたしを一目も見に来ない?
……そして、何故、父は、あのような蝋人形を手元に置いていたのか?あの顔は遠目から見た、母の顔に瓜二つで。
……けれども、父は、わたしの顔を、まるで、母のようになると……嫌がる
生気を吸っていくようだとわたしにあたろうとするのか
ひとつひとつのピースを父の表情を思い返しながら、あてはめていく。
いくつも。いくつも。
……そうして、見つけた答え。
……それは、あまりにも残酷な、答え。
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