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33.やりなおし ~ 人形
【孤独を想い、むごたらしく、救いがない 現身には、喜びがなく、……ただただ、黄泉のくにに住まう……その女を、思う】
白百合の香りは、いつまでも叫ぶ
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【わたしの憎しみをはらして欲しいと、叫ぶのでしょうか】
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わたしは、じっ、と、俯く。
……なんとなく、の、可能性を、ずっと、ずっと、心の奥に閉じ込めてきた。
……誰も、憎みたくなくて、誰も、責めたくなくて、……それは、自らさえも、責めたくなくて。
……それ、は、目を背けるということ。
知るということから、目を逸らすということ。
……それ、は、罪だとしても。
目を背けることそのものが、罪だったとしても。
……わたしは、幻影を、そのままに、抱きしめて、いつまでも、浸っていたかったのだ。
……わたしは、やりなおしかった。
--気づけなかった、まだ、幸せだと、ほんの少しの喜びを幸せだと抱きしめて信じていた、……あの頃、に。
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