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3.いきなり誰かが。

 一度目に目覚めたときは、病室の白い部屋のベットの上に、わたしはあおむけによこたわっていた。


 夏の暑い日差しが、めくられたカーテンと共に、うっすらとわたしの頬を撫ぜて、わたしは、


 ああ、現実に、帰ってきてしまったのだ、と、涙する。


 何故か、ひどく居心地が良かった、あの、ユキの居る箱庭に、帰りたくて、しかたがなくなっていた。


 白い病室には、かわりばんこに、家族や友人、会社の同僚などが、訪ねてきてくれたが、そこに、当然ながら、ユキの姿はなく、わたしは、ひどく、さびしくなる。


 まるで、ぽっかりと空いた、心の穴を、いきなり誰かがするりと引き抜いてしまったように、それは、ひどくこころもとない感覚、だった。


 「なぁ、ほんとうにお前、どうにかしちまったようだぞ」


 わたしの友人は、口々に皆、心配気に、そう、わたしを気遣った。


 わたしは、ただただ、もごもごと、不明瞭ななにか、を口にし、


 友人と他愛もない会談をし、


 そうして、こころにぽっかりと穴をあけたまま、


 わたしは、ひとり、病室のベットの上に横たわった。


 


 

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