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25.黄泉わたり(14)
身を投げれば、すべてがリセットされると、本気で思っていたわけじゃない。
全てを忘れられると、本気で思っていたわけではない。
全てをやり直せると、本気で考えていたわけではない。
……けれども、わたしは、かたくなに、縋った。
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冷たい、岩山で、わたしは、蹲っていた。
白いものがちらちらと、わたしの肩に降り積もる。
雪は、冷たく凍えた身体に柔らかく降り積もる。
既にわたしの身体に感覚はなく、雪山で、わたしは、意識を手放そうとしていた。
寸前、意識を手放そうとしたとき、わたしの意識の手を引いたのは、かつての子供の頃の、
……
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