23.黄泉わたり(12)
「多恵さんは、話して下さいました。……あの、お父様のお話と……、事故で、……亡くなられた、お母さまのお話を……。お父様も今、ご病気で……、そんな、お話を……多恵さんは、とても苦しそうで……私……」
わたしは、ユキの小さな声で戸惑いがちに語られた内容に、目を大きく見開いた。
--わたしの両親の話だと、ユキは、言った筈……。
わたしの母が……わたしは、ユキの居場所、こちらに来るまで、母と話していた。
……そういえば……あちらの世界で、入院していた際、父の姿は……一度も、見ていないけれども……。
父は……元気で……?
--??
最近の父の様子は……
……思い出せない……
わたしは、視界がぐにゃりと、歪む心地がする。
……わたしの子供の頃の父の様子、母の様子、わたしの様子、そこから急に飛んで、最近のわたしの入院先の様子、取ってつけたような仕事先の友人、知人、それらは、昨日のことのように鮮やかに思い出せるのに、その感覚は、よくよく思い出すようにすると、まるで、紙を食むように、うすっぺらいもののように感じた。
……まるで、そう、まるで……
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