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22.黄泉わたり(11)
「……、ごめんね。ユキ……。少し、わたしは、おかしいみたいだ。気持ちが、……うまく整理できなくて……。あの、岩山から落ちてしまった時に、頭を強く打ったようだから、その影響なのかな……ユキ、わたしは、あまりよく覚えていないのだけれど……、わたしは、どのようにあの岩山から落ちたのかな……?」
ユキは、わたしから、少し距離を取りながら、わたしの質問に丁寧に答えようとする。
「……多恵さんは……、私と、あそこで、お話をしていて……、私に、多恵さんの子供の頃のお話をして下さって……私は、多恵さんのご両親のお話をお聞きしていて……それで……多恵さんは、急に……頭が痛いって……そのまま、岩から滑り落ちて……私、一生懸命、近道を滑り降りて、多恵さんのところに……そうしたら、多恵さんがここで、倒れられていたのです」
……?わたしが、ユキに、わたし自身の子供の頃の話を……?
……変だなと、自分でも思う。--わたしは、自分が、ユキに話したという内容を全く思い出せなかった。
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