表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/89

20.黄泉わたり(9)

 ゆらゆら揺れる視界の端で、幼い頃のわたしが、孤独な目をしている。


 泣くことも、叫ぶこともしない、ぽかりと空いた空洞のように開いた目を持つ子供。


 子供は、なに、か、を心に決めたようで、



 そっ、と、子供の宝物を、簡単なつくりのいかだに載せる。


 あらゆるところがガタガタなそれ、は、子供の手で作りあげたものだろう。


 ゆるり、と、いかだに宝物を載せると2、3度揺れたが、それでも、いかだは、動きだした。



 するすると、子供の宝物が、泉を流れていく。



 **


 

 ……あれ、は、わたしだ。



 ……わたしは、あの時、なにかを引き換えに、宝物を流したのだっけ。



 --なにを、引き換えにわたしは、願った、のだろうか。




 ……しらない、覚えていない。




 ……思い出せないーー











 【……代わりに、代わりに、かまいませんから、他、たりなかったら、わたしの、渡せるもの、すべてと引き換えに……おねがいします、わたしは……    …… たい おねがいします】




**

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ