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17.黄泉わたり (6)

わたしが、ぼんやりと、ベットに座っていると、ノック音がして、わたしの担当医が部屋に入ってきた。


相変わらず、無表情だ。


彼は、わたしの前に佇むと、一言、何事かを言った。


ノイズが掛かったように聴き取れず、わたしは、ほんのすこし、顔を歪める。



担当医の顔が波のように歪み、ゆらゆらと揺れた。



**


目を開けたとき、わたしの目の前に居たのは、ユキ だった。


「多恵さんっ」


ユキは、わたしが目を開けたことを知ると、わたしに飛びついてくる。


ぼろぼろと泣きながら、わたしに縋りついた。


彼女の身体は、泥だらけで、スカートの裾や、彼女の小さな手は、可哀想なことになっている。



「っここから、多恵さんが落ちた時には、心臓が止まるかと思いましたっ」



涙が乾いた後のユキはひどい顔をしていて、目元は赤くにじんでいる。


わたしは、突然に思い出す。


そう、わたしは、()()()()()()()()()


この目の前のそびえたつ岩山から。


我ながら、よく無事だったものだと、自らの身体を見やる。



わたしの身体は傷だらけだったが、あの岩山から落ちたということを省みれば、あり得ないほどに軽症に見えた。




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