14.黄泉わたり(3)
ゆらゆらと、視界が揺れる
わたしは、裸足のまま、水辺を歩く
不思議と水は、さらさらとしており、わたしの裸足の足を刺激しない
水の冷たさも、液体が肌にまとわりつき、濡れる感覚もない
わたしは、それらの感覚から、これは、夢だと思う
夢だと思えばそれらの感触は、面白く、わたしは辺りをゆるりと見渡す
幼い頃のわたしの声が聞こえてくる
『父さんが、父さんが、わるいのよ』
『わたしを()のかわりになんて 、するから』
『ずっと、ずっと、忘れていればよいのよ』
『わたし、ゆるさない』
遠くの方から
、駆けてくる わたしの、大事な、大切な、おともだち
ブリキのかわいい、女の子
『、ねえ、だめ、だめ、よ 、それは、だめ 』
(かくれなきゃ かくれなきゃ あなたは、大切なおともだちだから あなた にしってもらうために かくれなきゃ かくれなきゃ あなたがとても 大切だから あなたのために さびしくとも あなたのために )
(あなたをこちらへ こちらへ あなたが大切だから お願いします あなたのために)
小さなやさしい甘み のある 声
わたしを包むようにやさしい それ
羽毛のようにやわらかくわたしを包みこんで
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