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10.身体と心

父さんは、わたしのことを、娘としてしか見ようとはしなかった。……色々と歪な部分もあっただろうが、わたしは、表向きは違和感のないように普通に過ごそうとし、父の前では、可愛い女の子、として、いきた。


 父が、何故、わたしを娘としてしか見ようとはしなかったのか、……わたしは、それを推測しか出来ないが、父は、……きっと、母への独占欲からそうしたのだろうと、大分大きくなってから、思い至った。



 わたしが、初潮ではなく、精通がきたとき、わたしは、初めて自らの身体に……否、自らの身体と、疑おうともしてこなかった、父のわたしへの愛情のおかしさに、疑問を覚えた。


 一瞬、あの時の……わたしの底の底に沈めた……一瞬、歪めた父の表情を思い出す。


 「……っ」


 わたしは、ちくり、と胸に迫ったものを、意識的に見なかったことにする。


 ……わたしが、見ていたものは、全てまがい物だったと思えてしまった時、わたしは、色々と、あきらめてしまったのかもしれない。


 



 

 

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