6話
5話の前書きでも書きましたが、2話~5話までのお話を変更しました。よければ読み直してみてください
バトルロワイヤルから二日がたった。
一応俺はあのバトルロワイヤルで最後までたっていた者として勇者(?)として魔王を倒すべく旅立つことになった。瞬からは
「俺にこのアビリティは荷が重い。もともと剣太を助けるためにアビリティをもらい受けたわけだしな。勇者として選ばれた剣太が持っておけよ。どうせ丁度防御系のアビリティが欲しかったところだろ?」
と言われ、あのハンドレットアーマーを譲り受けた。本当に瞬は何でもお見通しのようだ。
そして今の俺のステータスは新しく拾ったものを含めこんな感じ
【名前】 武蔵剣太 詳細
【種族】 ヒューマン
【レベル】 297
【アビリティ】 ごみ収集マン ヒノキマスター 動かざること山の如し
ムーブストーン 巨大化 筒ぬき リトルスラスト
グランパス ラッザ イール ボニート プルプ
スクアーロ ゼイゲル
new(リュイソー テレモート ヴィントホーゼ
ナチュラルディザスター アヴァランチ フェルムクレイ
レヴィアタン ハンドレットアーマー)
【称号】 ごみ溜めの英雄 変態紳士←new
【攻撃力】 3700
【防御力】 3810
【体力】 7319
【素早さ】 5530
称号にすごく気になるものが含まれてはいるが、まずは拾ったアビリティの確認をするか。
【リュイソー】
中指から水鉄砲ほどの水が出る。
【テレモート】
小規模な地震を起こす。
【ヴィントホーゼ】
小規模な竜巻を起こす。
【ナチュラルディザスター】
ランダムで天災を起こす。
【アヴァランチ】
なんか寒くなる。
【フェルムクレイ】
鉄を様々な形に変形させる。
【レヴィアタン】
自分より小さく弱い魔物を5匹まで眷属にする。
【ハンドレットアーマー】
100個の鎧を瞬時に換装できる。レベルが上がることにより装備できる鎧が増える
(現在装備できる鎧の数29個)
と、こんな感じ。なるほどな、リュイソーやアヴァランチを持ってたやつはなんでこのアビリティであのバトルロワイヤルに参加しようと思ったんだろうな、って不思議に思うくらい使いどころが分からないな。
ていうかリュイソーやらイールやら、なんなのこの指から放出する系のアビリティ。アヴァランチなんて無駄に名前かっこいいくせにコート1枚着れば対策できそうなんだけど。
相変わらずのごみアビリティへのツッコミはこれくらいにしておいて。
テレモート、ヴィントホーゼ、ナチュラルディザスターは全部天災系のアビリティだな。
テレモート、ヴィントホーゼは小規模なって書いてるけどナチュラルディザスターはランダムにとしか書いてないからもしかしたら町一個壊滅できるほどの天災おこしちゃったりするんだろうか…恐ろしくて使えんな。
あとはフェルムクレイとレヴィアタンか。
フェルムクレイはエルツファーレでシンプルな刀や剣を作った後その形を更にかっこよく変形できるってことか?なかなかロマンのあるアビリティだな。機会があれば使ってみるか。
レヴィアタンは、魔物を5匹まで眷属にすることができるのか、でも自分より小さく弱い魔物って書いてるから怪獣大戦争みたいなでっかい魔物は眷属にはできないのか。それに一度倒してから「仲間になりたそうにこっちを見ている」状態にしなきゃいけないってことだと思うし使うタイミングが重要だな。
あと問題なのはこの変態紳士ってやつ。詳細を見るのが怖いな。
【変態紳士】
意中の相手と意思がつながったとき、その場に応じたステータスが1つ爆発的に(+50%)上がる。
なんとこの称号、見かけによらずステータスが+50%もされるようだ。条件はあるようだが。
先日の戦闘の中で感じたエンジンがかかるような感覚はこの変態紳士のおかげだったのだろうか。思い当たる要因といえばまなちゃんと撫でてもらう約束したってことくらい…ておいまなちゃん対象で変態紳士発動しちゃったらダメだろ。意中の相手だぞ?いやむしろまなちゃんに発動するから変態紳士なのか?
なんにせよそう簡単に発動することはできなさそうだな。
うぅむ、ステータスを確認したはいいものの俺が今から魔王を探す旅に出るんだと、いまいち実感がわかない。あの日は突然魔物が現れたものの、それ以降俺の前に魔物が現れたことも、魔物が現れたという情報もなにもない。
暇つぶしに流しているラジオからもまるで魔物などただの一度も出現したことがないといわんばかりにまったりとした音楽が流れている。実に平和だ。
今日ものんびり過ごすか。
と決意を新たにしたとき、ラジオから雑音が流れる。
―ザザッ―ザッ―ザザ―
『おいゴミ能力者君!なにをのんびりしているんだ!君の役目は魔王を倒すことだろう!?今日ものんびり過ごすか。じゃあないよ!』
「なんでラジオ局に女神さまがいるんですかねえ」
『私は女神だからね、君の聞いてるラジオの周波数に意識を乗せることなど造作もない!』
「そりゃすごい」
ラジオのチャンネルを切り替える。
「ちょっとチャンネル変えないでよ!」
「最初からこっちにでてこいよ」
「いーじゃん驚かせたかったんだもん。いやそんなことよりゴミ能力者君、なんでまだ自宅にいるんだい?魔王を倒す旅に出る覚悟ができたんじゃないのかい?」
「覚悟はできたけど旅の準備が」
「はいはい、じゃあこのゴミここに捨てておくから」
あ、ちくしょう拾っちゃった。
「お金と着替えと証明書と携帯電話と充電器。これだけあれば十分でしょ?ほらさっさといってきなさい!」
「行ってきなさいって。どこに向かえばいいんだよ。ギルドで冒険者登録でもすればいいのか?」
「何言ってんの、現代日本に冒険者なんてジョブないしギルドもないわよ。とりあえず近くのバス停から最寄りの駅まで行ってみればいいんじゃない?」
「なにその曖昧な。女神なら魔王の場所とかわかんないの?」
「まったくわからないわ!とにかく行ってきなさい!」
こうしておれの冒険はこのバス停から始まった。
家の近くのバス停につき待つこと5分、最寄り駅行きのバスが来たので乗りこむ。
「あちょっとまってぇぇぇぇ!」
なにやらかわいい声が聞こえてきたので窓から外を覗いてみると、まなちゃんが大きな荷物を持って走ってきていた。まなちゃんもこのバスで駅まで行くのか。よかったこのバスに乗って、あの自称女神に感謝感謝。
「ふぇ、間に合った…」
出会って5秒で即かわだな。とてもかわいい。
まなちゃんが何かを探すように一つ一つ席をのぞき込んでいる。
「あ、おにいちゃん見つけた!これからよろしくね」
「ん?これからよろしくとはこれいかに」
「おにいちゃんまなとたびに行きたかったんじゃないの?あの女神さまがそう言ってたよ」
行きたいに決まってるじゃないか。そんな泣きそうな顔をしないでおくれ。
「ああもちろん!まなちゃんと旅に行きたかったさ。これからよろしくね」
「うん!」
こうして本当に俺とまなちゃんの旅が始まったわけだが。
「普通こういうのって馬車とか荷車なんだけどなぁ」
うぅぅぅむ。やはり冒険感が皆無だ。冒険なんてしたことはないがなんか思ってたんと違う。
街並みは現代日本のまま、魔物も現れず、一応勇者として選ばれたのにここに至るまで一度も
「きゃー勇者様よ!」「こっち向いてぇ!」「かっこいい!とてもすてきだわ」「ごみ拾ってぇぇぇ!」
などの黄色い声援も聞こえなんだけどなんでなん。
「あぁ、それはですね誰が勇者になったよ!とか誰にもいってないのでそりゃあ誰も見向きもしませんよ、勇者とは送り出すための口実なので。だって勇者って言われたらみんな旅立ちたくなるでしょ?」
「てんめえ、お前もゴミとして俺のダストボックスにぶち込むぞ、どっから湧いてきやがった」
「無理ですよ、女神ですから。まあまあそんなことより聞き込みでもしたらどうです?やることないんでしょ?」
気に食わないがトイフェルの言うとおりだ、やることが無いというか何をすればいいのかいまだにわからん。仕方ないから言う通り聞き込みでもするか。
道行く知らない人に声をかける。
「すいません、えっと、魔王どこにいるかしらないっすか?」
「は?すいません急いでるんで」
「すいません、あの魔王…」
「え、なに?おにいさん頭沸いてんの?w」
「すいません、あの…」
「ちょっと何言ってるかわかんないです」
「え、どゆことなんで誰も知らないの」
「ゴミ能力者君、頭ゴミでできてるの?魔王なんてみんな知ってるわけないじゃん」
「だってお前が聞き込みしろっていうから!」
「そんなの魔物の出現情報に決まってるじゃんうける。魔物は確認されてるけど魔王なんてまだ発見されてもいないんだからあの反応は妥当だよね」
それもそうか、そうだよな。やべ俺めっちゃ恥ずかしいことしてたじゃん…。
「おにいちゃん大丈夫?まものさん見つけてみんなにいっぱいほめてもらおうね!」
ああまなちゃん、我が天使よ。褒めてもらうのは君だけで十分だ。
まなちゃんに応援してもらい俄然やる気がでてきたので今度は魔物の出現情報について聞きこんでみる。さっきのような頭おかしい人を見る目では無くなったが魔王の力がまだ完全ではないのか魔物の出現率も少ないようだ。少ないというかまったくない。
それから1時間ほど聞き込みをしたがまったく情報が出てこなかった。
「ワンチャン旅に出なくていい説」
だってこんなさがしても1匹もいないんだぜ?魔物どころか実は魔王もいないんじゃねえか。
魔物が初めてこの世界に現れてから、三日間ですべての魔物を倒し、その2日後バトルロワイヤルが開催され、俺が勇者(仮)に任命されまた二日間のんびり過ごし今に至るこの4日間1匹も現れないことなんてある?なにしに誕生したのかわからないけど魔王さんやる気なさすぎではなくて?
-とある場所-
「なんで俺この星選んじゃったんだろ」
いやだって水とかいっぱいあったんだもん。てか普通とかよくわからないけど魔王誕生するときって周りにちょー強い眷属とか居て「待ちわびておりました魔王様」とか言われるんじゃないの?
なんで俺森の中にいるの?普通なんかうす暗い所にお城とか建っててそこで誕生するんじゃないの?俺が一から建てなきゃいけないの?
そして最初に生み出しておいた魔物どこ行ったの?普通待たない?この星を俺のものにしてやろうとか思ってたけどもう無理じゃない?
「空気うめー。余計に支配して獣臭くなっちゃたらどうしよ」
あーもうちょっと待たないとなんもできないしなにしようかな。この木にぶら下がってて座ってぶらぶらするやつちょー楽しいじゃん考えたやつ天才。
「ここ征服するのはほかのやつに任せよ」
今日の聞き込みを終え、まなちゃんを家まで送り届けた後自分の家に帰ってくる。
「はー、今日も収穫なしか」
様々なアビリティや称号を獲得し魔物と対峙する準備も整っているというのに肝心の魔物がでてこない。
まあでてこないに越したことはないが魔物が存在する可能性が1%でもあるなら気は抜けない。
そういえばあの日、トイフェルにこの世界に魔力を生み出してくれと願ったが特に世界の何かが変わったということもなく、すっかり忘れて帰ったらすぐ寝てしまった。
「魔力か…」
と意味ありげに呟いてみたもののわからないものはわからない。アビリティは普通に発動できたのにこの差は何なのだろう?
アビリティか。少し実験してみよう。
思い立ったが吉日、早速お風呂場に移動する。そして俺は浴槽に向かってアビリティ、リュイソーを発動する。中指から水鉄砲くらいの威力の水が放出される。試しに5分くらい出しっぱなしにしてみたが体力が奪われたり体の中から何かが抜け落ちたような感覚もない。つまりアビリティと魔力を使ったものは別物といことか。
ふむ、同じものなら何か感覚がつかめるかもと思ったんだがな。
頭が良ければ何かヒントになることでもわかったかもしれないが、なにせ頭が悪いもんで全く分からなかった。
「頭で考えるより肌で感じる派なんだよなぁ」
「じゃあ肌で感じさせてあげる『ライトニング』」
「あばばばあばばばば」
突然現れたトイフェルに電撃を食らう。こいついつも俺が一人事喋ってたら現れやがるな、なんなの俺のこと好きなの?ストーカーなの?
「どう?なにか掴めた?」
「なにか掴めた?じゃねえよ殺す気か!だがおかげでなにか掴めた…らかっこよかったんだけどね」
「まるでだめね、特別にあたしが教えてあげるわ。手を前につきだしてこう」
「あっ、だめ、でちゃうでちゃう、んっ!だめだめやめて、なんかでちゃうぅ!」
「みたいな感じよ!」
「完っ全に理解した。」
「さすが私ね、ただの一般人にこんなに早く魔力の使い方を覚えさせるなんて」
「あぁ、さすがとしか言いようがないな」
「でしょ?特別にもう一回見せてあげるわ!」
「なに!いいのか、よろしく頼む、何度見ても素晴らしい」
「本当!?仕方ないわね何度でも見せてあげるわ!」
悶々とした気分でその日の夜を過ごすことになるなんて思いもよらなかった俺は調子に乗ってトイフェルの「魔力の出し方・実演講座」を30分にわたり見続けた。さすがのトイフェルも30分過ぎたあたりから勢いもなくなり「もう疲れたから帰る」といって消えてしまったがいいものを見れた。
「なんかでちゃうぅか。」
びょびょ…
あ、なんか出た。
びょびょ…(´◉◞౪◟◉)






