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ゴミ回収能力で最弱無双   作者: もみ
1章
3/14

2話

俺は瞬に連れられて安全だというビルの中にやってきた。


「ここまでくれば安全だ、さっき確認したから多分大丈夫」

「うんありがとう瞬、とりあえず恥ずかしいからおろして?」

「おっとすまん、少し早いスピードで移動したが体は問題ないか?」


 鎧の角が当たって少し当たって痛かったけど仕方ない。


「大丈夫ありがとう瞬。ところで俺まだ魔物を見たことないんだけどどんな感じなの?」

「そうだな、俺が見た範囲では親玉と呼べるような魔物はいなように見えた。全部小型でゴブリンみたいな感じかな、あとは獣型とかも居たな」


 なるほど、瞬の情報通り小型の魔物が多いなら攻撃系の能力を持った人たちがなんとかしてくれるだろう。でも獣型とかはイメージ的に素早そうだが大丈夫だろうか。

 ここでもし俺が攻撃系の能力を持っていたらみんなと倒しに行けるのに、不甲斐ない。


 俺が戦える状態ならば瞬もこんなところに留まらずにもっと安全なところに行けたかもしれないのに。

 俺をおいて一人で行くなんてことは考えられないし、瞬が最初に言っていたように自衛隊待ちかな?


 ちなみに俺はここに来る間に40個ほどゴミを拾った。なんて素敵で地球にやさしい能力なんだみんなに自慢したいな。はは。


「剣太こっちにこい、魔物かもしれない、物音がする」


 いつの間にか紺色の鎧に換装した瞬が俺を呼ぶ。

 瞬が俺を呼んでから1分くらいしたころだろうか、俺にもコツ、コツと足音が聞こえるようになった。だんだんとこちらに近づきながら扉を開けている。え、なんかこういうホラー映画見たことあるんだけど。

 そして俺たちのいる扉がゆっくりと開かれる。生唾を呑む俺と瞬。



 開かれた扉の奥にいたのはヒノキの棒を構えたおじさんだった。


「ひいぃぃぃぃぃ!やめろぉ殺さないでくれぇぃ」

「あ、あの」

「ひぃぃ…ん?な、なんだ人か。それおまえの能力かなんかなのか?へっうらやましいぜ俺も英雄を夢見てあの女神のところに行ったはいいものの、獲得した能力はヒノキを無限に生成できるってだけだぜ、ったくよ」

「あこれは俺の能力じゃなくて友達なんです、俺の能力はごみを自動的に収集する能力ですよ、はは…」

「あー、そうかいそれは、なんというかすまんな」


 そこに何とも言えない沈黙が流れ耐えきれなくなった瞬が「じゃあ俺は見回りをしてくるから…」とそそくさと部屋を出て行ってしまった。

 するとそこにまた沈黙。


「へへっにいちゃんここに来るまでになんかゴミを拾ったのか?」


 一瞬バカにしているのかと思いおじさんの顔見ると、そこには気まずそうな顔をしてうつむいているおじさんがいた。あぁ、気を使ってくれたのか。


「そうですね、バナナの皮やらペットボトルなんかを…」

「そうか…地球にやさしいなにいちゃんの能力は」

「はは…」


 続かないですよねそりゃ。今まで拾ったごみの話なんか日常で出てきたことなんてないからな!

「きょうぺっとぼる拾っちゃんったんですけどぉ」「え、まじうけるーあーしなんか今日鼻水かんだティッシュ拾っちゃったわー」なんて話さないだろう。

 当然また沈黙が流れる。

 ところで瞬はこの攻撃力も防御力もない二人をなぜ置いて行ってしまったのだろうか。



「おれぁよ、小さいころから強いもんにあこがれてたんだ」


 唐突におじさんが自分の夢を語りだしたので素直に聞く。


「強いって言っても権力とかじゃねえ、人を守れる強さが欲しかった。でもかみさんも先に逝っちまうし絶望しかなかった。そろそろ後を追ってもいいんじゃねえかってくらい泣いた後ふと窓の外をみたらよ、なんやよくわかんねえ緑色のバケモンがいてどうしたもんかと町に出てみればあちこちから悲鳴が聞こえるじゃねえか。そして俺はあの光を目にした」


 光というのはおそらく駄女神トイフェルが放っていた光のことだろう。


「俺はその時聞こえた気がしたんだ、さきに逝っちまったかみさんの声がよ。そこにいる人たちをあなたが守ってみせてください、私はあなたの命が無駄に燃えてしまうことは許せませんってな、へへっおかしいよな死んだやつの声が聞こえるなんてよ、でも聞いちまったからにはやるしかねえだろ!だから俺はあの光まで走った。そこにはいたんだよ女神が、俺は必死にその女神に人を守れる力をくれって頼み込んだんだ。そしたらあの女神は少し憐れむような顔をして俺に光の玉を投げ渡してきたんだ、それをみてみたらこのざまだよ、あの女神は内心あざ笑ってたんだろうな、俺みたいな老害になにができんだってな」


 あの駄女神こんどあったら今まで集めたごみ全部あいつの周りにおいていってやる、許せん。


「こんなゴミみたいな能力、俺が持ってもむだだつかえやしねえ。こんなもんもったままあの世にはいけねえ、かみさんに笑われちまう。そうなる前に捨てておくか」


 能力を捨てることができるのか。初耳だ、俺もこんな能力捨ててしまいたいくらいだが夢にまで似た能力、簡単には捨てられねえんだよなぁいくらゴミでも。


 するとゴミを回収した時の音が頭の中で鳴り響く。

 ん?この場所にゴミなんかあったのかと思い入っているごみが表示されるメニュー画面のような場所を開く。そこにはNewと書かれたファイルが入っていた。不思議に思いタップし開いてみると数秒のダウンロード画面のあとに、【ヒノキマスターを獲得】と表示される。

 このヒノキマスターもこのおじさんがゴミと判断し捨てたものだから俺が拾えたわけか。


【ヒノキマスター】

ヒノキを無限に生み出すことができる、レベルにより生成できる上限up。形の変更も可能。


 なるほど、この世界、地球(仮)にもレベルの概念が存在するのか。レベルも存在し、ついでに魔物も存在する。

 いよいよこれが現実世界で起こっていることなんだと実感する。そう、俺のこのゴミ能力は夢ではなく現実なんだ、あわよくば夢であってほしかったが現実なのだな。いやレベルを上げればなにか能力も開放するかもしれないからあきらめるのはまだ早いかもしれないが。

 念のため俺のレベルを確認するために虚空に触れステータス画面を開く。最初にメニュー画面を開いたときはどんな能力なのかとワクワクしたもんだがな。今じゃなんのときめきもない。メニュー画面ってのは現実味がなくていいけどね。

 さて、表示された俺のステータスはこうだ。


【名前】    武蔵剣太                  詳細

【種族】    ヒューマン

【レベル】   41

【アビリティ】 ごみ収集マン  ヒノキマスター

【称号】    ごみ溜めの英雄

【攻撃力】   193 

【防御力】   201

【体力】    592


んん?レベル41?俺はまだ魔物の姿すら見たことないのにレベルアップしている意味が分からない。右上に詳細の文字を見つけ俺のレベルアップの要因がなんなのかを知るために押してみる。

 するとゴミ収集マン獲得の直後、ごみ溜めの英雄を獲得していた。あまりうれしくない称号だが。

 そのあとは40個ほどゴミを拾ったのログが続き最後にはヒノキマスターを獲得した。となっていた。このレベルアップにはゴミ溜めの英雄がかかわっていると思いステータス画面上のごみ溜めの英雄をタップし詳細が表示される。


【ごみ溜めの英雄】

 生涯、ごみを集め続けることが宿命となったものにのみ与えられる称号。ゴミを1つ集めるたびにレベルが1上がる。


 は?おいおいゴミ集めるだけでレベルアップかよ、ごみ能力かと思ったら結構チート級じゃねえか。欲を言えばもっとかっこいい能力欲しかったけどゴミ集めればレベルアップと考えればもうけもんか。ゴミを集め続けることが宿命になっているのがなんともいえないが。

 でもなんか41って微妙だな。瞬はいま何レベルなんだろ、帰ってきたら聞いてみるか。


 そしておじさんがゴミとして捨てた能力、ステータス画面にアビリティって書いてたしアビリティって呼ぶか。まぁそのヒノキマスターだが、これはなかなか使い勝手がいいんじゃないかと思っている。


 おじさんが現れた時にはヒノキの棒を持っていたからヒノキの棒無限生成かと思ったが、説明欄にはヒノキの棒ではなくヒノキを、と書いてある。つまり色んな形のヒノキとか作れるんじゃね?って思っているわけだ。


 試しにヒノキマスターを発動しヒノキで片手剣を作ってみようと試みる。最初はただの棒だったものがみるみる内に柄、刀身を形成していく。

 やはりな、このヒノキマスターはヒノキの形を自由自在に操れるらしい。


「お、おいにいちゃんそりゃまさか俺が持っていた能力なのか?」

「ええ、俺のアビリティは人がゴミだと認識したものを自動的に拾う能力ですからね。どうやら人が捨てたアビリティもゴミとして認識されるみたいです」

「へへっそうかい、そんな形にすることもできたんだな。俺は勝手に絶望して自ら夢をあきらめてたってことかよ」


 このおじさんが捨てたものを俺のアビリティが勝手に拾っただけなんだがなんとなく申し訳なくなってくる。

 再び沈黙が流れるがその沈黙を破るようにどたどたと足音が聞こえてくる。

 瞬が戻ってきたのかな?よしレベルのこととヒノキマスターのことも自慢してやろう。あとは攻撃力のない俺たち二人を残していったことを問い詰めてやろう。などと考えていると扉が開かれる。


「おい瞬、攻撃手段のなかった俺たち…」


 そこに現れたのは瞬ではなく魔物の群れだった。確かに思い返してみれば足音は一人のものではなく複数あった、新しいアビリティを得た喜びでそこまで気が回らなかったようだ。そうだここは今までと同じ地球ではない。魔物がうごめく、もはや別世界だということを。

 だがしかし今は自分の情けなさを悔いている場合ではない、この魔物をなんとかしなければならない。


「おじさん、この剣使って。人を守れる強い人になりたかったんでしょ?」


 俺は自分が持っていた片手剣をおじさんに渡す。


「へっ、にいちゃんその言い方はずるいな。全部失っちまったいま、目の前のにいちゃんも守れないとなっちゃ、かみさんに合わす顔がねえ」


 にやりと笑いながら俺の剣を受け取るおじさん。俺も同じような顔をしているんだろうな、おかしいなこんなピンチなのに笑っちゃうなんて。武器と仲間を手に入れた今なんだかこいつらも倒せそうな気がしてくる。

 俺はヒノキマスターを発動しさっきと同じ片手剣を作り出す。木刀といえど刀身は鋭利なものにしている。本物の刀のようには切れないだろうが少しくらいの傷を与えることは可能なはずだ。







「じゃあ、いくよおじさん」

おじさんは後々ちゃんとした仲間に







なりません(´◉◞౪◟◉)

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