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補習授業編その3


「私、佐藤さんを探しに行って来ます」


「もう、帰ってるかもしれん」

森谷先生は目を伏せる


「帰ってません。佐藤さんも素直になれないだけで森谷先生に感謝しているはずです。絶対に」


「俺もそう思うっす」


浅葉くんも同調してくれる。


「桜井、俺も一緒に行くぜ」


「いや、桜井さん一人の方がいい。浅葉君となら喧嘩になるかもしれん。だが、あいつはどんなことがあっても女子には手を挙げないから。もし、学校にいるなら四階の非常階段だ」


と言った。


「わかりました。行ってきます」


「森谷先生がそう言うから待っとくけど、なんかあったらすぐ戻ってこいよ」


浅葉くん、心配してくれてるのかな?


「ありがとう。でも大丈夫だよ」


私は教室をあとにし四階の非常階段に向かった。



「ここか」


非常階段のドア前まで来た。

開ける前に大きく深呼吸。


ガラっ


久々に直射日光を浴びて眩しくて目を閉じる。

「お前、何しに来た」


校長先生は少し驚いたように言った。


「佐藤さんを迎えに来ました」

「あ、どういう意味だ」


「教室に帰って補習受けましょう!」


我ながら直球すぎるとも思うが上手い言い回しができるような器用な性格ではないし、私らしくやるしかない。


「くだらねぇ。ふざけたことをお前バカか?とっと帰れ」


「嫌です。佐藤さんと一緒教室に戻りましょう」


目を見てきっぱりとはっきりと。自分の思ったままのことを口にする。


「森谷先生はほかの大人と違うってわかってますよね」


「黙れ」


校長先生はドスをきかせてた声で言うが気にせず


「本当は素直になりたいんでしょう」


「黙れ!」


感情的な声になってくる。


「後悔しますよ」


「黙れって、言ってるだろう!!」

校長先生が拳を振り上げる。

森谷先生の言葉を信じる。そう決めたんだ。だから怖くない。


ドスッ

鈍い音が鳴る

校長先生の拳は私の頬を数センチ横のドアを叩いた。


「え!?大丈夫ですか。い、痛いですよね。すぐ手当しなきゃ」


拳からあふれる血液にあたふたする。


「なんで、ビビんないんだよ!軽蔑しないのかよ。殴ろうとしたのに」


「森谷先生が女の子は絶対に殴らないって言ったんです。だから絶対大丈夫だって思ってました」


ふふっと笑うと校長先生はプイっと目を逸らした。


「……教室に戻ればいいんだろ」


足早に去っていき。置いてかれてしまった。


「たとえこの世界が幻でも校長先生と森谷先生を救えたかな?」




教室に戻ると森谷先生の補習授業が始まっていた。

校長先生は若干不貞腐れながらもしっかり授業を聞いていた。

私と浅葉くんも一緒に聴講した。


そして下校時間になり補習授業が終わる。

「今日の授業はこれで終わりだ。夏だからまだまだ明るいが寄り道せずに帰れよ」

校長先生は背中を向けたとき。


「佐藤、ありがとな。戻ってきてくれて」


「……別に気まぐれだ。じゃあな」


と言い校長先生は教室から去っていった。


「さぁ、君たちも気をつけて帰れよ」

私たちもこの世界から別れを告げなければ


「佐藤さんは森谷先生のこと大好きですよ」


「なんだ急に」

森谷先生は少し驚いたように言った。


「私たち実は未来から来たんです。佐藤さんは森谷先生のような立派な教師になっています。だから安心してください」


「桜井の言う通り佐藤さんは変わった奴に理解あるマジでいい先生になってますから」

浅葉くんも同調する。



「はは、そうか。なら良かった」


私たちの言葉を信じているか信じていないかはわからないが、森谷先生は優しげに笑った。

すると森谷先生の姿はすっと消え、周りの景色が変わっていく。


よし、森谷先生の心を救えたみたいだな!

浅葉くんがガッツポーズをする。


「森谷先生はずっと校長先生のこと心配してたんだね。死んでもずっと」


景色が変わりきりこんどは薄暗い夜のようだ。


「待ったわ。貴方たちを」


突然の声に驚いて後ろを見ると。

一人の少女が立っていた。



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