表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

美術部編その4


 決意を胸に私たちは

図書室から美術室までの近くすぐに美術室の前まで来た。


扉を開けて絵の方へ


「うぁぁぁ!!絵が!」


突然、浅葉くんが絶叫する。


私も絵を見て言葉を失った。


自画像の頭や口から血が流れ出し床に滴り落ちている。

顔も……とても酷い事故だったんだね。


正直に言うと怖い、恐ろしい気持ちは聖人ではなからもちろんある。でも。


「中西真知子さんこんにちは。桜井観月と言います」


でも、70年以上もひとりぼっちなんて私なら嫌だと思うから……!


「中西さん思い残したことは何ですか?」


中西さんに問いかける。


「絵、絵を完成させたい。」


絵から声が聞こえる。


「完成させるために私たちができることありますか?」


「体を私に貸して」


「んなこと……!!」


「わかりました」


浅葉くんの言葉を遮り答える。


「桜井、正気か!? 体が乗っ取られる可能性あるんだぞ」


浅葉くんが私を心配して言ってくれているのはわかる、ありがとう。


「大丈夫だよ。浅葉くん。私を信じてお願い」

浅葉くんの目をじっと見て言う。


「わかった。中西さんを信じて、二人の立会人になるぜ」


「どうぞ」


絵から中西さんが出てくると同時に

自画像が描きかけの風景画に変わっていく。

不思議な感覚だ意識はしっかりあるのに体は動かせない。


素敵な絵。

現在ではあまり見かけない風景だ。

上手くこの絵を伝えられない自分の語彙力が憎い。

素直にそう思った。


(ふふっ。ありがとう)


体の中から中西さんの声が聞こえる。

そうか、今同居中だった。


(筒抜けよ)


うう、恥ずかしい。この絵が最高傑作ですか?

(え、なぜ知ってるの)


日記読みました。すみません。

(恥ずかしいわ。あと敬語やめて)


思考は止められない。積極的に筒抜けていこう。


中西さんは美術準備室に向かって画材道具を用意し絵の前に座った。

手際よく絵の具や道具を用意し絵を描いていく。


とても集中しているようで私の声も聞こえていないみたいだ。

浅葉くんも言葉を発することじっと絵を見ているみたい。


本当に心が洗われる素敵な絵だ。木や花は精力にあふれ、太陽は辺りを暖かく照らしている。とても優しい気持ちになれる。

その後も中西さんは一心不乱に描いていく。


(あと、もう少し)


中西さんが呟く。


空に雲が生まれていく。そして花の上に蝶々が生まれ。


(完成したわ)


頬に涙が伝っていく。


良かった。本当に良かった。


(ありがとう。私の願いを叶えてくれて。桜井さんに出会えて救われたわ)


「そんな、私は何も」


言葉が声が出た。何かが私からすっと抜け出る感覚におちいった。


すぐ横を見るとセーラー服を着た自画像の女の子が立っていた。


「中西さん」


「じゃあ、私はもう行くわ」


「待ってくれ。あの、ごめん。大げさに怖がったりして。すごい、いい絵俺は好きだ」


「ふふ、ありがとう。お二人ともさようなら」

中西さんは消えていった。


「さようなら」


しばらく感傷に浸っていると。


突然、美術室が雰囲気が変わった。夕焼け空から突然太陽が降り注いだ。


「え! 何だ!?」


メッセージの通知音だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ