美術室編その1
メッセージの送り主の名前はオトナシレイコ。
アイコンは鏡に写っていた少女だった。
【それはどういう意味ですか。そしてここは何処ですか?】
震える手でオトナシレイコさんにメッセージを送った。
すぐに既読がつき、返信が返ってきた。
【この校舎には成仏できすにさ迷っている者たちがいる。
このまま取り壊せばその者たちの怒りを買うだろう。】
という返信がきたあと、すぐに新しいメッセージが来た。
【取り壊す手伝いをした貴方たちは真っ先に災いが降りかかるだろう。
ここはさ迷えし者たち在籍していた時を写した世界。】
私は恐くなって浅葉くんにメッセージを見せた。
「なんだよ、これ。災いってなんだよ!誰かのドッキリなんじゃねぇの」
浅葉くんは私からスマホを取り上げ
「電話かける」
電話をかけようとしたとき
「メッセージ来た」
メッセージが来たようで浅葉くんと一緒に内容を見た。
【電話はできない。信じる信じないは勝手。私はチャンスを与えた。この校舎にいる者たちを救済する。
それが貴方たちが生き残る唯一の方法。】
思わず息を飲む。私たちの考えていることか分かっているんだ。
「私、彼女の言うこと信じようと思うの。」
私は浅葉くんの目をしっかり見て言った。
「それに今気づいたんだけど電波受信してないよ。圏外になってる。時間も表示されてないよ」
「何で、電波受信してないのにメッセージがくるんだよ!!」
「だからドッキリじゃないと思うの」
「あま……取りあえず聞きたいこと全部聞いて見ようぜ」
「うん、そうだね」
【旧校舎にいるさ迷えし者を救うにはどうすればいいですか。救えば私たち元の世界に帰れるんですか?】
送信すると間髪入れず返信がきた。
【本来は貴方たちが考えること頭を使いなさい。でも良いわ、ヒントをあげる。まずは美術室に行ってみなさい。待ち人がいるわ。】
【元の世界に帰れる方法はこの世界の貴方たちの行い次第】
正直どこまでが本当なのかわからない。
でも、やるしかない。直感でそう思ったのだ。
【わかりました。ありがとうございます。】
オトナシさんとのやり取りを終える。
やるしかないよね。
「悩んでる暇はねぇな。美術室に行くか。よろしくな、桜井絶対に元の世界に帰ろうぜ」
浅葉くんが私に向かって右手をさし出す。
「うん、一緒に帰ろ」
私も右手を出して浅葉くんの手を握った。
オトナシさんに言われた通り美術室に向かった。本来の旧校舎と同じなら4階にあるはずだ。
今、いる場所は1階だったようで古びた木製の階段を昇っていく。
「動画の撮影で結構心霊スポットに行ってるけど、こんなことは始めてだ」
「動画撮るって楽しいの?動画サイトに出てる人が好きな友達多いけど私はよく知らなくて」
「楽しくなければやっねぇよ。」
「でも、恐くないの?世界中の人に見られるなんて」
「まだはっきりと顔出しはしてないからな。まぁ恐いコメントもあるけど、それ以上に嬉しいコメントの方が多いし。周りからきついこと言われることもあるけど参考になること多い。それに動画撮るってなったときに家族や大切な人たちに迷惑かける行為は絶対しないってメンバー全員で誓ったから。問題ない」
今まで同じクラスだったけどあまり話したことはなかったんだけど、
浅葉くんの表情はとても真剣で動画撮るのが本当に好きなんだなと感じ、もとの世界に戻ったら浅葉くんたちの見たいな。
「実は今まで浅葉くんたちの動画見たことがなかったけど浅葉くんの話しを聴いて観たくなったよ」
「ありかとな。誰にも迷惑かけずに大真面目に大バカやるのが俺たちハイローズのモットーだ。よろしくな」
「うん」
良かった。疑問に思ってることを聞いて。正直いうと浅葉くんたちのこと、ふざけているたけだと思っていた。
でもそれは、私の勘違いだったみたい。
話しをしているうちに美術室についてしまった。
そして……ここさ迷える者がいる。
「ここだな、美術室」
美術室と書かれた教室の前に思わず立ちすくむ。この扉の向こうに何が待ち受けているのだろうか。
「よし、俺が開ける。桜井は下がってろ」
浅葉くんが意を決した様子で扉に手をかける。
「わ、私も開けたい。一緒に開けよう」
怯える心を叱りつける。浅葉くんにだけ危険なことはさせられない。
「ああ、じゃあ一緒に開けようぜ」
『いっせーのーで』
二人同時の掛け声で扉を開けた。