第二話
うう、なんで寝ぼけて目覚まし時計なんか壊しちゃったんだ、俺!くそお…
「すみません、すみませんっ、ほんっとーにすみませんでした!だからやめっ、痛えええええ!」
目覚まし時計を壊したのがバレてしまってから一時間、俺は拷問を受けていた。指をあらぬ方向に曲げて指の骨を折り、中級のヒーリングで治す、そして又指の骨を…というエンドレス。
もう嫌だ、田舎のおうちに帰りたい。まあ、帰ったってどうせジャスミンもついてくるんだろうけどさ…
いてててて!また折れた!折れたっ!!
「"中級回復 ヒーリング。"…仕方ない、そろそろ許してあげるよ。そろそろ魔力も尽きる頃だしね。」
つ、ついにこの地獄が終わるのか…!?
よかった、指の骨と一緒に心も折れそうになってきた所だったんだよ…本当によかった。
「やっt「ただし!新しい目覚まし時計は自分で買うこと!わかった!?」
この地獄が終わったのは素直に嬉しい。
それにどうせ俺に拒否権なんて無いんだろ、わかってるよ。ここで断ったら次はどこの骨を折られるかわからない。最悪治してもらえないかもしれない…そんなのはまっぴらごめんだ。仕方ない、必要経費か。
…はぁ…目覚まし時計を買ったら銅貨1枚しか残らないじゃないか。銅貨1枚で買えるもの…屋台の串カツ1本位しか思い当たらない。とほほ…
「そんな顔しないでさ、パジャマ見せてよ、パジャマ。呪われてるとか言ってたじゃん?もしかして、あれ、嘘?」
「う、嘘じゃねえよ!ほらっ、ほらあ!ステちゃんの声が聞こえないか!?」
…呪い、一定時間で解除されてるとか無いかな?そしたら俺只の嘘つきになるんだが…
≪あなたの装備は呪われていて外せません≫
…よかった、危うく冤罪をかけられる所だった…ってよくねえよ!俺、これからどうなるんだ…勇者だからって毎月フォルヒハイム王国から貰ってる銀貨も貰えなくなって野垂れ死ぬのかな…
「ステちゃんって言いかた辞めなさいよ…」ボソッ
「ほら、聞こえただろ!?呪われてるんだよ、やっぱり!…ん?なんか言ったか?」
「な、なにも言ってないわよ!リュークのバカ!はやくパジャマ見せなさいよ!」
…何もしてないのにバカって言われるのは傷つくなあ。あ、何もやってない訳じゃないわ、目覚まし時計壊してたわ。
「はやく見せなさいよ…」
「はっ、はいいいい!」クルクル
「あ、こんな所に魔法陣があったのね。ええっと、解除する方法は…っと…!?」
あれ、ジャスミンの顔が凄く険しい。どうしたんだ?まあ、ジャスミンの頭があれば呪いが解けてすぐ脱げるようになるだろう。
…暇だな〜あっ、もう昼か。いいクエストとかもう取られてるかな。今日はギルドに行くのはやめて久しぶりに宿でゆっくりジャスミンと雑談でもするか。
「どうか、ジャスミン〜。まだ時間かかりそうか?」
せめて遅くとも今日中には解いてほしいな。クエストにも影響がでるし…
「リューク…ごめん、この呪い解けないわ…。」
はい、フラグ回収しました〜。
この世界では
銅貨…百円位
銀貨…千円位
金貨…百万円位です。