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醜いうさぎ  作者: なつき
6/6

誕生

うさぎは出産する数は5匹から10匹

多産系の動物だ


きっと同じうさぎでも産まれてきた子供の性格は違うのだろうか


人間はうさぎとは違い一回に一人しか基本的に産まない

けれど、何回でも出産することが出来る




高校二年生の冬から、

お兄ちゃんとは毎日会うようになる

私が毎日会いたいのだ

少しでも離れたら寂しい気持ちに襲われる


公衆電話しかない私は彼の携帯に電話する


どうしたの?


会いたいの

すごく会いたいの


飛んであたしのところに会いに来て



仕事中だろうがかまわず電話する


ちょっと待っててね


毎日来てくれる


だいたい家の近所の公園だ


いつも私が待っている

彼がくれた約束のマフラーをいつもつけて

抱きしめられるようになった


愛しているよ


その言葉が聞きたいだけで

毎日のように聞く



でも宗教のなかでは二人は何事もないように

接していた


ひとりだけ、三十後半の主婦の信者だけは知っていた


あたしも主人いるけど、彼が好きなの

この気持ちは神様は許してくれているわ

たまに三人で出かけようよと



18で

お兄ちゃんは30


その女の人のほうがお兄ちゃんと年齢が近い


好きなんだってよ

どう思う?


どうも思うわけないだろ



でも、宗教の人は知らなかったが自分の友達には紹介してダブルデートや花火大会や

遊園地にカップル同士で行ったり


普通の恋人のように楽しんだ

とても仲良しなカップルだった

いろんなところにいき

いろんなものを見る

楽しかった




だんだん二人で会うと

抱きしめられるだけでは収まらなくなってくる


身体が触れ合えば合うほどに

軽いキスは

絡み合う深いものへと変わる


その行為は宗教では禁じられてるのでは?

頭によぎりはするが


宗教なんかよりお兄ちゃんが大切


なんの罪悪感もない


素直に目の前の王子様に

夢中な私


学校へいかない私を

朝二人乗りのおっきなバイクで迎えにくる

お兄ちゃんはコックさんだった

だからお手製のオムライスを昼の弁当にと持って迎えにくる


バイクの後ろで彼にしがみつきながら

学校へいく


また帰りは迎えにきてくれる


そしてキスだけでは収まらなくなる



身体と身体が触れ合う


少し拒んだような気持ちになる


そこまでで二人は終える


また次の日きてくれる


宗教の信者になればなんの問題もない



ずっと彼の横で笑っているのよ

結婚して

妻となって


素直にそう信じていた


学校はたまにさぼり、

どこかに出かける



私はお揃いのものが欲しいという


早く指輪をつけたくて仕方ない


けどお兄ちゃんは

結婚してからねと言った


お揃いのジャージのズボンを買おうよ


紳士服のお店で、


黒に青いラインが入ったズボンはお兄ちゃんの


黒に赤いラインが入ったズボンは私の


しょっちゅう着て出かけた


それだけで繋がっているような気持ちになる


幸せだった



そんな日々が、続いていた



高校三年生になった春


母親は私に相変わらず

口うるさく文句をいっていた

だけど途中で吐き気がするみたいでトイレへと駆け込む



お母さん

まさか、妊娠してるんじゃない?


あんたがあたしにストレスをかけてくるからよ



1ヶ月くらいして、

お母さんが言う


あたし妊娠してるのかも

いまさらこの年齢で産婦人科いくの恥ずかしいわ



いや、でも、行ったほうがいいんじゃない?



母親は、病院にいき

帰ってくると妊娠5ヶ月だって、、、


あたし欲しくて子供つくったこと一度もないのよ!

泣きながら言う母親に


もう冷静に知ってる


と言った


でも妊娠してようが自転車に乗り

宗教活動に出かける


危ないなぁと思いながら


そうか兄弟ができるのかぁ

名前何にしようかな~


楽しみだった


その発覚から3ヶ月もしないうちに

母親は高齢出産と

妊娠中毒症でいきなり入院になった


数日後

夜中に電話が鳴った


今から産まれます


お父さんがひとりで

病院へ向かった


800グラムしかない

小さな弟が誕生した

四人目の弟


二日後

母親のベッドには柵がつけられてた


寝ぼけてベッドから落ちて破水しちゃったのよ


笑いながら母親は言う


名前は?


あー、お父さんがもう役所に出しに行ったわよ


え?


もう終わりにしたいから

終了の一文字を取って了くん


は?

相変わらずだ



ナースステーションにいくと

保育器の中に小さな弟はいた


まだまだお腹にいなくちゃいけなかったはずだが

誕生した弟



無菌して入る


まだ保育器から出すことは出来ない


チューブで繋がれながら

動いていた


保育器の穴から手を入れて

小さな手を人差し指に乗せた



初めまして了くん

お姉ちゃんだよ


そう保育器に語りかけた



高校三年生の9月の出来事だった





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