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「10歳」 リィリィの日記

【蛍月8日】

エレメンターツ学院に入学して1か月。

ロゼッタ様と同期だからいっぱい遊べるかも!と思ったけど、甘かった。

成金男爵令嬢のわたしと、バリバリ公爵令嬢のロゼッタ様とじゃ派閥がぜんぜん違うんだよね。

一緒にいると、周囲のとりまきたちが引きはがすからツラい。

学校に入学するまでは、たまに王宮におよばれする時くらいしか顔を合わせられなかったんだから

その時よりはマシといえばマシなんだけどね。


それに!転生仲間という意識があるせいか、ロゼッタ様もわたしのことを気にかけてくれている。

だから周囲の目を盗んで、こっそりお話したりはできている。……嬉しいな!

あんまりにもお会いできなかったから、わたしのことなんて忘れられているかもって思っていたんだもん。


周囲の子たちはさすが貴族だけあって教育きっちりされてて、みんな頭がいいし、

すごく小さかった頃はともかく今の年齢では、前世の人生分のアドバンテージなんてあんまり感じない。

なのに前世の記憶があるから、今の世の中の身分制度に対する考え方とかが他の子とはあわない。

ある意味ジェネレーション・ギャップってやつかな。


ロゼッタ様も、そういうのがあるっぽい。

王族の役目が自分のいた時代と違っててとまどうっておっしゃっていた。

あまりご自分の前世については語られないから、抽象的な話ばっかりになっちゃうけど。

いろいろあるよねーって語れるお友達がいるだけで、なんか心強い。

ロゼッタ様、大好きだわ。

ロゼッタ様も同じように思ってくださってると嬉しいんだけどなー。




【蛍月15日】

今日ロゼッタ様とこっそりお話していたら、クレイン王子と側近の人たちに遭遇。

話のなりゆきで、一緒にお話しするハメになった。


それで気づいたんだけど、この世界って前世でやっていた乙女ゲーム「リィリィの恋日記」の世界かも。

ヒロインがわたしリィリィ・ガストンで、王子とか側近の方々が攻略対象っていう。

で、クレイン王子の婚約者がロゼッタ様。


いまのところ、顔と名前が一致する人がいるっていうだけだから、しばらく様子見かな。

もしゲームの通りなら、わたしがクレイン王子と恋におちたら、ロゼッタ様の将来がしょんぼりになる。

とりあえず、王子には近づかないでおこう。




【月待月20日】

商人あがりの男爵の嫡男が、建国の時代からある名家のひとつバスザスト伯爵家のご令嬢と結婚するらしい。

今日の学校は、その話でもちきりだった。


商人あがりの男爵って、うちと同じなんだよね。

わたしの派閥は成金貴族が多いので、「これこそ時流だ!」なんてもりあがって、

伝統派の貴族たちににらまれちゃっていた。

もめごとはできるだけ避けたい。


とはいえ昨今の社会情勢を見ると、ブルジョワジーの台頭に従って、

昔ながらの貴族階級には苦しい世の中になってきているんだろうなぁって思う。

貴族だからって、稼ぐことは下品だと思っている層は、申し訳ないけど早々に苦しい立場になると思う。

ま、ロゼッタ様のおうちくらい地所があれば別なんだろうけど。


あとパパンが「わたしにもいい結婚相手を見つける!」とか息巻いていたのが困っちゃった。

「わたしはパパみたいな人と結婚するー!」って言ったら、にやけてたけど。

でも実際、お父様みたいな方と結婚したいなぁ。

成り上がりだから気楽だし、稼いでいるから裕福だし、自分に自信があるから鷹揚だしね。

あと内緒だけど、けっこうハンサムだと思う。……ファザコンじゃないよ!



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