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幻想に誘われる者
突然だが、こんな話をしよう。
世界は美しい。優しく、清らかに全てを包み込む。
だが、時に、世界は残酷で、全てを弾き、汚く全てを汚している。
汚れを恐れず、それに抗おうとする者には、世界からの隔離を受ける。
あらゆる真実を掴み、知り尽くした時には、世界ほど恐れるべき物もない。
やがて、死ねば最後、悪魔、神、龍、妖怪、人、あらゆる物を包み込む世界に誘われる。
だから、人は言うのだ。神などいない。妖怪など幻想である……と。
包み込む世界……それは幻想郷。
狂気と幸福に満ちた、踏み入れてはいけない世界。
幻想の住まう、最後の砦である。
嗚呼、なんと美しい世界だろうか。
失われた過去が再構築された、幻想と必然の世界。
結界で阻まれた、ありとあらゆる幸せと狂いと力が争う世界。
大昔に、一匹のオオガマが誘われたこともあった。
結界が破壊され、外と中が繋がったこともあった。
外で生きる最後の魔法、妖怪、全てを網羅し、息絶えることも無かった煙の存在、エンラエンラと呼ばれる者は、天界、恩人である霊龍の住まう神殿へ、一本の煙管を持って、訪れた。
今こそ、あの時の恩と煙管を返すために。




