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第四話

「……う~ん、いい朝だなぁ」



 早朝。リビングのソファーで寝ていた僕は、窓から差し込む温かい日差しで目を覚ました。


 異世界農園生活2日目。


 ──と言っても、まだ農園らしいことは何もしてないけど。


 作ったものと言えばトイレだけ。  


 昨日は森から帰ってきた後、採取したベリーを食べながら貯水タンクに水を補充し、シャワーを浴びて寝ることにした。


 ベリーくらいでお腹一杯になるわけないと思ってたけど、意外とお腹が膨れるもんだね。


 もしかすると異世界のベリーはカロリーが高いとか?


 ログハウスのシャワーを使ったときも驚いた。


 なんと熱々のお湯が出たのである。


 ガスなんてもちろんないし、どうやって水を温めているのか。


 ログハウス内の配管を何かしらの方法で温めているんだろうけど、時間を作ってちゃんと調べていこうと思う。


 今後、農園の敷地に「露天風呂」も作りたいからね!


 あとは、昨日一日でスキルのレベルも上がった。


 習得したレシピと含めて、今はこんな感じのステータスだ。



 〈開墾〉

 【対話】レベル1:全ての対象と対話が可能になる、効果時間永続

 【強化】レベル3:効果時間3分

 【凝固】レベル3:強度160%アップ、効果時間永続

 【造形】レベル1:複雑度Aまでの製作が可能


 〈製作〉

 石の斧、石のスコップ、木のジョウロ、木のバケツ、収納カバン、木の箱、木の壁、木の柱、木の床、木の柵、いい感じのドア、不思議なランタン、大きめの窓、DIYセット


 所持SP:80



 スキルは【強化】に続いて【凝固】もレベル3になっていた。


 トイレを作るときに何度か使ったからね。


 【凝固】スキルは使えば使うほど強度がアップしていくのも嬉しい。そのうち、大砲を食らってもびくともしないような建物が作れそうだ。


 製作レシピは色々と増えてきたので、ひとまずここで打ち止めにした。


 SPの残りポイントが心もとないし、神樹の世話は十分出来ているからね。


 その製作レシピだけど、昨晩リビングのソファーでゴロゴロしながら眺めていたらちょっと面白いものを発見した。


 釣り竿だ。


 なんとこの釣り竿、水に糸を垂らすと、どこでも淡水魚が釣れるのだという。


 水桶に垂らしてもイケるみたいだけど、せっかくだから農園内に「釣り堀」を作らなきゃだよね?


 釣り竿は色々とグレードがあって、海水魚が釣れる【上級釣り竿】や不思議なものが釣れる【伝説釣り竿】なるものもあった。


 アンロックするためのSPが高いからパスしたけど。



「……さて、と。まずはデイリーミッションをクリアしますか」



 リビングを後にした僕は、縁側から庭に出て神樹の元へと向かった。


 カバンの中から【木のジョウロ】を取り出し、根本に水を撒いていく。


 樹皮はいくらか元気になってきてるけど、枝に葉はついていない。


 そのうち新芽が出てくるのかな?


 なんて考えていると、ポンとウインドウが表示される。



『神樹ポイントを50ポイント得ました』

「……お、ありがとうございます」



 神樹にペコリ。


 今日のお世話は完了したらしい。


 昨日より貰えるポイントがちょっと多くなってるのは、元気になってきてるからなかな?


 ちなみにこのお世話は一日一回だけのようだ。


 昨日、森から帰ってきて水をあげてみたんだけど、SPはもらえなかったし。


 ほんとにゲームのデイリーミッションみたいだ。


 さてと。SPを貰ったところで、今日の作業をはじめようか。



「森を切り拓いて……いやまて、まずは畑を作ろう」



 農園と言えば、やっぱり畑だよね。


 トマトの苗もゲットしたわけだし、早く植えてあげたい。


 ぐるっと回って玄関の方にいく。


 さてさて、畑はどこに作るかな。



「場所はここらへんで良いか」



 玄関を出てすぐに畑作業できると楽だしね。


 というわけで、ログハウスの玄関前にあるスペースを広げていくことに。


 【石の斧】を【強化】スキルで強くし、バッサバッサと木を切っていく。


 本来ならチェーンソーを使ったり、木や切り株の処理をする必要がある。


 だけど、切ったら素材になって自動的にカバンに収納されるから楽ちんだ。



「……ふぅ、これくらいでいいかな?」



 10分ほどで良い感じのスペースができた。


 広さは20平方メートルくらい。


 ワンルームの部屋ほどで、大人が10人くらい立っても余裕があるくらいの広さだ。もっと広げてもいいけど、まずはこれくらいからはじめていこう。 



「畑区画だってわかるように柵で区切ったほうが良いよね」



 農園って感じがするし。雰囲気作りは大事だよね。


 製作レシピの中から【木の柵】をアンロックし、手に入れた【硬い木】を使って柵を作っていく。


 作った柵の高さは僕の腰ほどで、並べても圧迫感はなかった。


 見た目は木目調でログハウスの雰囲気とマッチしていて、すごくおしゃれ。


 うん、農園感が出てきたね。


 お次は土を耕していくことに。


 レシピから【石の鍬】をアンロックして製作する。


 斧と同じように【強化】スキルを使って地面を耕そうと思ったんだけど、試しに別のスキルを使ってよう。


 気になっていた【広域化】というスキルだ。


 その名の通り、効果範囲を広げることができるらしい。


 ひとふりで広範囲が耕せるようになると思うんだけど、さて、どうだろう?


 スキルを発動させて鍬を振り下ろす。


 すると、まるで地中で何かが爆発したかのように、前方数メートルの土がひっくり返った。



「す、すごっ!」



 かなりの深さの土が一気に耕せた。


 ちょっとびっくりしたけど、これは楽しい。



「おっしゃ、一気にいくぞ!」



 そのまま無心で、土に鍬を打ち込み続けた。


 何度も鍬を振り下ろし、耕された土の匂いが立ちのぼる。


 健康体のおかげで疲れは全く感じなかったけど、畑作りは結構大変だった。


 ただ土をひっくり返せば良いって訳ではなく、大きな土の塊を崩して小さくする必要があるからね。


 これをしないと、ニンジンやダイコンが変な形になっちゃうのだ。


 他にも雑草を取ったり石を排除したりしていると、あっという間にお昼になってしまった。


「……う、ううむ、農作業って意外と大変なんだな」



 畑をやるのは初めての経験だけど、ここまで大変だとは思わなかった。


 森に入って食料の確保もしておきたいし、他に植える苗も探しに行きたい。



「こりゃ人手が足りないな……」


 手伝ってくれる人なんていないし、何か使える道具はないだろうか。


 休憩がてらレシピを開いて眺めていると、気になるものを発見した。



「……使い魔?」


 こんなの昨晩あったっけ?


 結構じっくり確認したけど、なかったような……。


 もしかしてレシピって日を追う事に増えていくのかな?



「使い魔って確か、お手伝いさんみたいなヤツだよね?」



 この「魔」っていう文字がちょっと引っかかるけど。


 早速アンロックして、製作素材を確認する。


 必要な素材は【土】と【枯葉】だけだった。


 どちらもそこら辺で取れるもの──っていうか、畑を耕したのでカバンの中に大量に収納されていた。


 製作ボタンをタップすると【土のゴーレム】なるものがカバンの中に現れた。


 おお、これが使い魔か。


 【土のゴーレム】をリストの外にスワイプさせ、取り出す。


 すると、いつものように空から落ちてきたんだけど──。



「わ。なにこれ?」



 空から落ちてきたのは、僕の膝丈ほどの大きさの小型ゴーレムだった。


 ぬいぐるみみたいな寸胴体型。


 腰のくびれがなく足が短いけど、手は長いので作業には支障はなさそう。


 つぶらな瞳をしていて、なんていうか……うん、メチャクチャ可愛いな!



「ごむごむ」 



 ゴレームちゃんがひょいと起き上がり、ペコリとお辞儀をした。


 律儀である。



「ごむれむ。ごむごむ」

「え? 何? な、なんて言ってるのかな?」



 慌てて開墾スキルの【対話】を使ってみる。


 これを使うと対象と会話ができるようになるらしい。


 ちなみに消費SPはゼロ。


 実に親切設計。



「ごむごむ(こんにちは、お屋形様)」

「お、言葉がわかる……って、お、お屋形様?」



 それって、僕のことだよね?


 そんな偉そうな呼び名なんて必要ないのに。



「僕のことはカズマでいいよ」

「れむれむ! ごむむ、ごむごむ!(えっ! そんな失礼な呼び方できないよ! お屋形様!)」



 慌てて首をブンブンと横に振るゴーレムちゃん。


 寸胴で首がないので身体を震わせてるだけだけど。


 しかし、どうしよう。


 呼び方を無理強いするのは、逆に良くないか。



「じゃあ、お屋形様でいいよ。作業、手伝ってくれる?」

「ごむごむ(わかった!)」



 ぺこりとお辞儀するゴーレムちゃん。


 な、なんて律儀で可愛い生き物だろう。


 生き物じゃなくて使い魔だけど。


 ゴーレムちゃんと呼んでもいいけど、何か名前をつけてあげたいよね。


 土のゴレームだから……ええと──。



「よし、君は今日からゴレム1号だ」

「ごむ!(良い名前だね!)」



 ぴょんぴょん跳ねるゴレム1号。


 どうやら気に入ってくれたようだ。



「早速だけどゴレム1号、森に入って食料と水を確保してきてくれないかな?」

「れむごむ!(ボクにまかせて!)」



 ゴレム1号が、ポンと胸を叩く。


 見た目は可愛いけど、実に頼もしい。


 そんなゴレムのために製作レシピにあった【収納カバン】を作ってあげた。


 このカバンは、基本性能は【神樹カバン】と同じなんだけど、収納数に20個までという制限がある廉価版らしい。


 その中に10個【木のバケツ】を入れて、ゴレム1号に渡す。



「あ、そうだ。ついでに途中で野菜の苗も取ってきてもらうと助かるんだけど」

「ごむごむ」



 ゴレム1号はこくこくと頷くと踵を返し、ひょこひょことペンギンみたいな歩き方で森の中へと消えていった。


 ああ、なんて可愛いんだろう。心が癒やされるなぁ……。


 そして、ゴレムを温かい目で見送り、作業を再開して2時間後。



「ごむごむ~(戻ったよ、お屋形様~)」



 森の中からゴレム1号が帰ってきた。


 カバンの中を見ると、水や野菜の苗や種がたくさん入っていた。


 ベリーにナス、キュウリ、ピーマン、とうもろこし、大根や人参の種など。


 一体どこで取ってきたんだろう?



「ありがとう、ゴレム1号。でも、これってどこで取ってきたの?」

「ごむれむ(適当に取ってきたよ)」



 適当って。


 覚えてたら周辺地図も作れるかなって思ったけど、まぁいいか。場所はわからなくても収集作業はゴレムに任せればいいし。


 しかし、すごく便利だな。使い魔。


 可愛いし便利だから、10体くらい作っちゃおう。


 名前は……ゴレム1号から10号。


 こういうのはわかりやすいほうが良いよね。


 あっという間に、目の間に10体のゴレムたちが。



「じゃあ、よろしくね」

「ごむ!」

「れむれむ!」

「ごむれむ!」



 10体のゴレムたちが一斉に元気よく敬礼し、ちょこちょこと可愛らしい歩き方で森の奥へ進んでいく。


 そんな彼らの後ろ姿を見て、にやにやしてしまう僕。


 肩からカバンをかけ、律儀に一列に並んで歩いていく可愛いゴレムたち。


 ああ、本当に癒やされる……。

第五話は15時更新です!


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