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第三話

 リストをスワイプさせていると、【木のジョウロ】なるものを発見した。


 5SPを消費して、レシピをアンロック。


 グレーアウトしていたのが、アクティブになった。


 よし。これでオッケーだな。


 早速、【木のジョウロ】を作ろうとしたんだけど──。



『【木のジョウロ】を製作するには【硬い木】が2つ必要です』



 ──と書かれたウインドウが表示された。


 うむむ。道具の製作には素材が必要なのか。


 でも、【硬い木】ってどうやって手に入れるんだろう?


 木を切ってゲットするのかな?



「……ということは、木を切る道具が必要だな」



 レシピをアンロックして、素材を手に入れて……【木のジョウロ】を作るまでの道のりが長いな。


 だけど、こういうのもゲームみたいで楽しいよね。


 というわけで、続けて製作レシピから【石の斧】をアンロック。


 必要な素材を確認してみたけど、【木の枝】と【小石】で作れるらしい。



「それならそこら辺に落ちてるな」



 落ちていた小石と枝を手に取り、初回特典でもらった【神樹カバン】の中に入れる。


 このカバン、サイズは小さいけど大きな枝も問題なく収納できた。


 一体どんな構造になっているんだと中を覗いてみたら、吸い込まれそうな真っ暗な空間が広がっていた。


 これってもしかして、四次元空間的な無限収納なのかな?


 おまけに、カバンの蓋を開けると収納している物のリストまで表示されるという優れものだった。



「……【木の枝】と【小石】はゲットしたし、これで作れるはずだな」



 再び製作レシピを開き、【石の斧】をタップする。



『石の斧を製作しますか?』

「OKっと」



 表示されたOKボタンを押すと、カチャカチャと何かを作っている音が聞こえ、『製作完了しました』の文字が現れる。


 カバンを開けてみると、【石の斧】が収納されていた。



「おお、ちゃんと出来てる」



 収納されているアイテムの名前に触れると、詳細が確認できるようだ。



 石の斧:普通の石製の斧。すぐ壊れる



「す、すぐに壊れちゃうのか」



 そうか。石の斧だし仕方ないよな。


 でも、これで木が切れるようになったはず。


 カバンの中から物を取り出すには、リストに載っている名前をスワイプさせてリストの外に出すと良いらしい。


 神樹カバンのときみたいに、空から【石の斧】がドサリと落ちてきた。


 見た目は原始的な普通の石斧。


 これで本当に大丈夫なのかなと疑心暗鬼で近くの木の幹を切ってみたが──やっぱり少し傷が入っただけだった。


 まぁ、そうだよね。


 サクツチ様がくれた「健康体」のおかげで疲労感はないから、時間をかけたら切れそうだけど、一本切るだけで日が暮れそうだ。


 ううむ。もっと簡単に木を伐採できる方法はないかな?



「……あ、そうだ。開墾スキルでなんとかならないかな?」



 開拓に役立つスキルって説明書きがあったからね。


 開墾スキルのリストを開き、効果を吟味していく。


 あらゆる言語を習得できる【対話】スキルに、農具を強化できる【強化】スキル。他にも対象をイメージ通りの形に作り変える【造形】や、対象に熱を帯びさせる【加熱】みたいなスキルがあった。


 スキルによって消費するSPに差があるのは、効果の差だろうか?


 消費SPが高いほど、効果が高いスキルな気がする。


 触れている間対象の重さをなくす【軽量】なんて、20SPもかかるし。


 このスキルがサクツチ様の力を借りているとするなら、強力なスキルほど相応の対価を求められるのも当然か。



「とりあえず、【強化】スキルを使ってみるか」



 農具を一時的に強化する【強化】スキルの消費SPは5ポイント。


 効果時間は1分と短め。


 発動してみると、ブウンと一瞬だけ僕の身体が青く輝いた。


 これがスキルが発動したサインなのかな?


 さっそく【石の斧】を木の幹にたたきつけてみる。



「……うわっ!?」



 びっくりした。


 だって、さっきまであんなに硬かった木が、スポンジみたいに簡単に真っ二つに切れちゃったんだもん。


 綺麗に根本付近で両断された木が、バキバキと倒れてくる。


 地面に落ちた瞬間、光の粒になって消えてしまった。



『硬い木を30個手に入れました』



 ふわっとアナウンスウインドウが表示される。


 収納カバンを見てみると、ちゃんと【硬い木】が30個入っていた。


 どうやらこのカバンを持っていると自動で収納されるらしい。


 なんて便利なカバンだろう。


 再びアナウンスウインドウが表示される。



『強化スキルの経験値を得ました。レベルアップ。強化スキルが2になり、効果時間が伸びました』

「おお、レベルも上がったぞ!?」



 へぇ! スキルを使うと経験値がもらえるのか!


 効果時間が伸びたのはありがたいね。


 自動収納といい、本当にゲーム感覚でできるのは楽しい。


 素材が手に入ったので、【木のジョウロ】を作ってみる。


 カチャカチャ──ポン。


 カバンから取り出してみると、ありがたいことに最初から水が入った状態だった。実に親切だ。



「よし、これでやっと神樹の世話ができるな」



 神樹の根本部分に水を撒いてまわることに。


 一回りして様子を伺う。


 流石に水をあげてすぐに効果は現れないだろうと思ったんだけど──。



「……あれ? 心なしか樹皮のツヤがよくなったような?」



 ボロボロだった樹皮が少しだけ綺麗になってる……?



『神樹ポイントを20ポイント得ました』



 気の所為かなと思っていたら、ポッとウインドウが表示された。


 おお、ポイントがもらえたぞ!?


 てことは、効果アリってことだよね!?


 良かった~。手探りでやったけど、正解だったみたいだ。


 世話をしてSPがもらえるなら、じゃんじゃんレシピをアンロックして便利な道具とかスキルを使っていいよね。


 世話の次は……食べ物だな。


 水はキッチンから汲めばいいけど、まずは生活基盤を整えた上で本格的に森を開拓していくか。


 うん、これは楽しくなってきたぞ!



***



 食べ物と水源を探して、のんびりログハウスの周辺を散策することにした。


 ついでに森を切り開いて開拓していこうかとも思ったけど、それは後日。


 残りのSPが心もとないし、食べ物と水源探しを優先しよう。 


 肩から【神樹カバン】下げ、木漏れ日が降り注ぐ森の小道をのんびりと歩いていく。



「あ~、気持いいなぁ……」



 思わず大きく伸びをした。


 森を歩くなんて、いつぶりだろう。


 青々とした葉が風に揺れるざわめきが、優しく耳を撫でていく。


 足元にはやわらかな落ち葉が広がり、踏みしめるたびにほのかな香りが立つ。


 なんだか懐かしい気持ちになった。


 ていうか、日本の森を散策している気分になっちゃったけど、ここって異世界だよね?



「……ん? 何だあれ?」



 しばらく歩いていると、小道の脇に小さな実がなっているのを発見した。


 近づいて手に取ってみる。


 ブドウみたいな紫色の実だ。


 これってなんだろう?


 食べられるなら持って帰りたいけど、毒があったらイヤだしなぁ……。


 何か調べる方法はないだろうか。



「あ、そうだ」



 カバンの中に収納したら、情報が調べられるんだった。


 早速、採った実をカバンの中にポイッと入れてみる。



 マルベリー:桑の木になる実。そのままでも食べられるが、ジャムやシロップとしても使える。黒くなった頃が食べごろ。



「……おお、マルベリーか!」



 これなら美味しくいただけるな。


 というか【神樹カバン】って万能すぎやしませんかね?


 森に生えているキノコがあったら食べられるか調べてみようかな。


 ──なんて考えていると、お腹がグゥと鳴っちゃったので、ひとつマルベリーを頂いてみることに。


 ハムッと口の中に入れた瞬間、じゅわっと果汁が広がっていく。



「わっ、甘酸っぱくてウマっ!」



 濃厚な甘みの奥から、フルーティな香りに乗ってほのかな酸味がやってくる。


 クセが少なくて、すごく美味しい。


 森の土の栄養価が高いのかもしれない。


 周りにはマルベリーのほかにもグランベリーやラズベリーがなっていたので保存食としてカバンの中に入れておくことにした。


 ベリーをカゴ一杯食べてもお腹いっぱいになることはなさそうだけど、飢え死にはしないよね。


 そうして色々なベリーを採取しながらしばらく歩いていると、小さな川にたどり着いた。


 川幅は2メートルほどだろうか。


 水は驚くほど澄んでいて、底の小石や砂利がはっきりと見える。


 流れはゆるやかで、深いところでも膝下ほどだ。


 時折、小魚の影がすばやく泳ぎ去るのが見えた。



「お、魚もいるな。この水なら大丈夫か?」



 用水路を作ったらログハウスまで水を持ってこれるけど、とりあえず今回はタンクに補充できるくらいの水を確保しよう。



「……よし。まずは飲めるかチェックだな」


 製作レシピから【木のバケツ】を作り、水を汲んでからカバンに収納。


 収納リストを見て、【木のバケツ】の情報を確認する。


 

 木のバケツ(水入り):水が入った木のバケツ。水は飲料可。



「お、大丈夫そうだな」



 ちゃんと水の解析まで出来てるね。


 飲料水として使っても問題なさそうだ。


 それに【神樹カバン】の中に入れたら、重さを気にせず大量の水を持って帰れるし、手当たり次第【木のバケツ】を作るか。



「念の為に大量の【硬い木】を持ってきたんだけど、正解だったな」



 備えあれば憂いなしってやつだね。


 それから一時間ほどかけて【木のバケツ】を作って水を汲み、カバンの中に収納するという作業を続けた。


 持ってきた【硬い木】の在庫はゼロに。


 この【硬い木】って木の道具を作るときに必要な素材だけど、ログハウス周辺を開拓するときに嫌と言うほど貯まるし、問題ないだろう。



「……よし、帰るか」



 ログハウスに戻る途中にも、鮮やかな赤や黄色の小さな実を発見した。


 またベリーかなと思ってよく見ると、大きなトマトが枝にぶら下がっていた。


 うわ、野生のトマトだ!


 ベリー種だけじゃなくトマトまで群生しているなんて、凄い森だな。


 この苗を持って帰ったら、畑でトマトが作れるよね?


 でも、前に祖父の農園に行ったとき、「大玉トマトは手入れが大変だから難しい」って言ってたけど──。



「まぁ、商売しようってわけじゃないし、物は試しだよね」



 野生でこんな立派なトマトができるんだから、うまくいくはず。


 ……多分!


 というわけで、野生のトマトの苗をいくつかカバンに入れて、持って帰ることにした。


 農園の最初の作物は、このトマトで決まりだな。

第四話は明日10時更新です!


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