新エネルギー計画
1月28日修正しました
完全に撒いたはずなのに、何故かいる。
「いや待て、アイツ俺たちのことを視認できてないな」
「偶然、居ただけですかネ?」
「多分ね。ヤエ、奴の尾行を」
「了解。ご主人様!」
ヤエに尾行をさせ、俺たちは再びホテルへと帰る。
「彼女1人で大丈夫なんですカ?」
「大丈夫だよ。あいつは強いし、優秀だから」
「……信頼しているんですネ。彼女のコト」
「結構長い間、一緒にいたからね」
「そうなんですネ」
「そういえばレティシア、お前って襲われるようなことした?」
「ワタシが襲われるとしたら、父が動機になると思いますけどネ」
「お前の父親の対立派閥がやってるってこと?可能性はあるな」
「レティシア様、お父上の対立派閥についてご存知でしょうか」
「社会党デスかね。党首はコナン・ロシュフォールデスよ。」
「あぁ、この前ニュースで見たなそういや。サミュエル・マクロンとコナン・ロシュフォールの討論。」
ホテルにて、レティシアの今後について話し合っていると、ヤエが戻ってくる。
「どうだった?」
「あのね、ご主人様。尾行してたらね、労働党の本部に入って行ったの。」
「労働党!?マジだったりするのか?」
コナン・ロシュフォールが黒幕であることはほぼ確定だろう。
「でしたら、彼女攫ってサミュエル・マクロンを脅迫する気なのでは?」
「だろうな。レティシア、労働党が進めてる政策とかって聞いたことあるか?」
「そうですネ。確か新エネルギーの研究予算を要求していたとパパから聞きマシタ。」
「新エネルギー?きな臭いな。新エネルギーの詳細分かるか?」
「それが分からないんですヨ。」
「議会でも説明してないってこと?」
「そうですネ。」
議会でも説明できない新エネルギー、魔術を使ったものなのだろうか。
「ちゃんと探りを入れるべきだな」
「旦那様、レティシア様をこれ以上巻き込むのはよろしくないのでは?」
「それもそうだな」
「ワタシも手伝いますヨ。アナタたちを巻き込んだのはワタシなのデ」
「それはそうだな。………レティシア、お前の父親にいって監査をしてもらうってのは?」
「できるでショウけど、時間がかかりますヨ」
「いや、やってくれ。監査をしようとしているという事実が大事だ。それを知れば奴らはその対応で多少ごたつくはずだ。その隙に潜入しよう。」
「では、私が旦那様と共に。」
「じゃあ、私どうすればいい?」
「ヤエはレティシアの護衛で。」
「了か〜い。」
「分かりマシたけど、大丈夫なんですカ?」
「何が?」
「アナタ達は、関わりすぎるとあまり良い結果にはならないと思いますヨ」
「乗りかかった船、ってやつだ。それに、俺だってフランスのことは好きだから」
昔の主人がそうだったから、とは言わないでおく。
「なに?ここに監査が入る?」
この研究所の所長、コナン・ロシュフォールが威厳のこもった声で言う。しかし、その声にはあまり余裕がない。
「はい、新エネルギーの研究予算を承認するにはそれが必要だと」
「いつだ?」
「1週間後です」
「そうか、」
しばしの沈黙の後、つぶやく。
「それまでにプランAを隠しておけ、それとプランBの方を表に出せ。いいな。」
「分かりました」
一旦は成功。研究データの隠蔽の為に研究所内はてんやわんやで侵入者に構っている余裕などなくなった。そもそも侵入したとバレていないのだが。
「…!コイツは、」
人が入れるほどの大きさのポッドが緑色の溶液によって満たされている。そして中には中学生くらいのヒトが入っている。
「間違いないな」
ホムンクルス。魔術によって人の模造品を作り出す技術だ。ただ、見た限りではこの溶液はホムンクルスの培養のために使うものではなさそうだ。
「エネルギー開発にホムンクルス?やっぱきな臭ねぇな」
盗んだIDで研究データ漁っていると新エネルギーに関する報告書を見つける。かなり多く、予備研究のデータも含まれているようだ。
「予備研究だけでも膨大な量だな。やっぱプランAってのは魔術を利用した方法か。となると、表向きはプランB、科学的な手法でってことなのかな。」
そうこうしている内に本計画の部分に差し掛かる。
「新エネルギー開発計画、ジェヴォーダン計画?」
記憶にあるジェヴォーダンはとある獣の名だったはずだ。少なくとも国を左右するエネルギー計画につけるような名前ではない。
「ジェヴォーダンの獣?召喚獣か」
報告書から読み取るに、ジェヴォーダンの獣とは召喚獣の一種であり、その魔力によって如何なる生物にも変身できるっぽい。
「コイツで電気を?だが、実用的な発電量に届くはずが………!」
[旦那様]
「どうした?メタテ」
メタテからの通信が入る。監視させていた研究員達に動きがあったらしい。
[複数の研究員がそちらに向かっています]
「了解、俺は研究データ、コピーして逃げるから適当に離脱しといて」
[承知しました]




